怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
要はまじまじと時計を見つめる。衝撃音は交霊会のときと似ていたが、唸り声は聞こえなかった。由希が具合が悪くなったことから、あのラップ音は本物だろう。ということは、この時計は使われなかったということだ。有線式のようだから、停電して機能しなかったんだろう。
「田中さん。ビデオカメラ設置したのって、大島さんですか?」
「うん。そうだよ。何か分かるかも知れないって大島さんが自分のカメラを置いてくれたんだよ」
「やっぱりね」
意味深に呟いた瞬間、玄関のドアが開かれた。闇夜の中から姿を現したのは、警察を呼びに行ったはずのあかね達だった。彼女達は全員そろって青白い顔をしていた。
「どうしたの?」
要に尋ねられて、あかねは一緒に帰ってきた秋葉達に視線を送った。一行は頬を引き攣らせながら促すように同時に頷いた。
「要、変なのよ。おかしいの。――道が、見当たらないのよ」
「……は?」
「田中さんに言われたとおりに進んだけど、道なんてないのよ。二又に分かれた道はあったから、最初言われたとおりに左に進んだの。だけど、すぐに行き止まりになって。森が広がってるだけなのよ。だから、もしかしたら右だったのかもって、引き返して向ったけど、そっちも森になってて通れないのよ」
「その森に入っちゃダメですよ」
田中が慌てて口を挟んだ。
「森の先に崖があるんです。夜は特に危険なので、絶対に行かないで下さいね」
真剣な様子に、思わず全員が頷いた。
「でも、本当に道がなかったんですか? そんなに大きくない道路ですけど、車一台は通れるくらいはありますから、見つからないはずはないと思うんですが……」
「なかったのよ! 私達降りて探したんだから! もう、イヤ! なんなのよ!」
ヒステリックに叫んで、笹崎が崩れるように泣き出した。不安と困惑が彼女達を包み込む。その中で、要は一人冷静だった。
「道に関しては真っ暗だから見過ごしたってことがあるかも知れません。とりあえず、警察に行くのは朝まで待ちましょう。で、みんなで大島さんに火を点けた犯人に会いに行きましょうか」
「……え?」
呟いたのはあかねだったが、その場の全員が同じ顔をしていた。光明と怪訝。そして不安が入り混じった表情だった。
「田中さん。ビデオカメラ設置したのって、大島さんですか?」
「うん。そうだよ。何か分かるかも知れないって大島さんが自分のカメラを置いてくれたんだよ」
「やっぱりね」
意味深に呟いた瞬間、玄関のドアが開かれた。闇夜の中から姿を現したのは、警察を呼びに行ったはずのあかね達だった。彼女達は全員そろって青白い顔をしていた。
「どうしたの?」
要に尋ねられて、あかねは一緒に帰ってきた秋葉達に視線を送った。一行は頬を引き攣らせながら促すように同時に頷いた。
「要、変なのよ。おかしいの。――道が、見当たらないのよ」
「……は?」
「田中さんに言われたとおりに進んだけど、道なんてないのよ。二又に分かれた道はあったから、最初言われたとおりに左に進んだの。だけど、すぐに行き止まりになって。森が広がってるだけなのよ。だから、もしかしたら右だったのかもって、引き返して向ったけど、そっちも森になってて通れないのよ」
「その森に入っちゃダメですよ」
田中が慌てて口を挟んだ。
「森の先に崖があるんです。夜は特に危険なので、絶対に行かないで下さいね」
真剣な様子に、思わず全員が頷いた。
「でも、本当に道がなかったんですか? そんなに大きくない道路ですけど、車一台は通れるくらいはありますから、見つからないはずはないと思うんですが……」
「なかったのよ! 私達降りて探したんだから! もう、イヤ! なんなのよ!」
ヒステリックに叫んで、笹崎が崩れるように泣き出した。不安と困惑が彼女達を包み込む。その中で、要は一人冷静だった。
「道に関しては真っ暗だから見過ごしたってことがあるかも知れません。とりあえず、警察に行くのは朝まで待ちましょう。で、みんなで大島さんに火を点けた犯人に会いに行きましょうか」
「……え?」
呟いたのはあかねだったが、その場の全員が同じ顔をしていた。光明と怪訝。そして不安が入り混じった表情だった。