怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
咄嗟に腕で頭を守る。パソコンは腕に当たって、太ももをかすり、先端が地面へ当たってひしゃげた。ハッとして顔を上げると、影はまたパソコンを振り翳していた。逃げようとするが、足に力が入らない。あかねは後退った。その直後、
「この野郎!」
怒声がして、影に誰かが体当たりをする。影はあかねのベットへ突き飛ばされた。弾みで落ちたパソコンを拾い上げる。
「えっ、何!?」
パニック状態のあかねの腕を誰かが取って、無理矢理立たせる。
「逃げるぞ!」
走り始めてようやくあかねは、自分を助けてくれたのが秋葉だと気づいた。あかねは、ほっとして泣き出した。
「泣くな! 足動かせ!」
「分かってるわよぉ!」
涙を拭った瞬間、痛みが駆け抜ける。安堵感から怪我を負った腕や肘がズキズキと痛み始めた。階段を下りながら、秋葉が首だけで後ろを振り返る。
「チッ。まだ追って来てやがる」
「え?」
不安に駆られながらあかねも振り返ると、黒い影が手すりからこっちを覗いていた。ぞっとして、全身が粟立つ。
秋葉はパソコンを脇に抱え、玄関の鍵を捻った。
「ちょっと、外に出る気?」
「しょうがねぇだろ! 追って来るんだから」
再度振り返ると、影はもう階段を下り切っていた。
「ちょちょちょ、早く開けなさいよ!」
「うるせぇな!」
悪態つくと同時にドアが開かれた。秋葉は駆け出し、繋いだ手につられてあかねも飛び出す。そのまま一目散に門を出ると敷地内の砂利道を少し走ったところで道路に出た。
道路は意外にも整備されていて、アスファルトだ。下れば田中が言うところの村や森への道、上れば展望台。秋葉は迷わず駆け下りた。
「下で良いの!? 昨日道なかったわよ!?」
「だからって、上ったって意味ねぇだろ!」
秋葉は振り返った。影は道路に出た瞬間、ふと消えた。その代わりくっきりと〝人間〟だと判る誰かが追って来る。ある程度離れているし、辺りはまだ薄暗い。しかも、その人物はマントとお面を被っていて、誰なのかは特定出来ない。だが、秋葉はあの格好に見覚えがあった。冷静になりさえすれば、あかねも気づいただろう。
(なんで、あんな格好……。あれは――)
「秋葉! そっちじゃない!」
気を取られている間に、秋葉は道路があるとされる左ではなく、危険だと警告された右の道へ進んでいた。
「この野郎!」
怒声がして、影に誰かが体当たりをする。影はあかねのベットへ突き飛ばされた。弾みで落ちたパソコンを拾い上げる。
「えっ、何!?」
パニック状態のあかねの腕を誰かが取って、無理矢理立たせる。
「逃げるぞ!」
走り始めてようやくあかねは、自分を助けてくれたのが秋葉だと気づいた。あかねは、ほっとして泣き出した。
「泣くな! 足動かせ!」
「分かってるわよぉ!」
涙を拭った瞬間、痛みが駆け抜ける。安堵感から怪我を負った腕や肘がズキズキと痛み始めた。階段を下りながら、秋葉が首だけで後ろを振り返る。
「チッ。まだ追って来てやがる」
「え?」
不安に駆られながらあかねも振り返ると、黒い影が手すりからこっちを覗いていた。ぞっとして、全身が粟立つ。
秋葉はパソコンを脇に抱え、玄関の鍵を捻った。
「ちょっと、外に出る気?」
「しょうがねぇだろ! 追って来るんだから」
再度振り返ると、影はもう階段を下り切っていた。
「ちょちょちょ、早く開けなさいよ!」
「うるせぇな!」
悪態つくと同時にドアが開かれた。秋葉は駆け出し、繋いだ手につられてあかねも飛び出す。そのまま一目散に門を出ると敷地内の砂利道を少し走ったところで道路に出た。
道路は意外にも整備されていて、アスファルトだ。下れば田中が言うところの村や森への道、上れば展望台。秋葉は迷わず駆け下りた。
「下で良いの!? 昨日道なかったわよ!?」
「だからって、上ったって意味ねぇだろ!」
秋葉は振り返った。影は道路に出た瞬間、ふと消えた。その代わりくっきりと〝人間〟だと判る誰かが追って来る。ある程度離れているし、辺りはまだ薄暗い。しかも、その人物はマントとお面を被っていて、誰なのかは特定出来ない。だが、秋葉はあの格好に見覚えがあった。冷静になりさえすれば、あかねも気づいただろう。
(なんで、あんな格好……。あれは――)
「秋葉! そっちじゃない!」
気を取られている間に、秋葉は道路があるとされる左ではなく、危険だと警告された右の道へ進んでいた。