怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
「ヤッベ!」
引き返そうと踵を返したが、やつは既に右の道を下って来ている。うまくかわして左の道へ行こうにも、道が狭い。おそらく自分はかわせるだろうが、あかねが途中で捕まるだろう。一瞬でそう判断して、秋葉は森を進んだ。
「大丈夫なの?」
不安げにあかねが叫ぶ。繋いだ手から、震えが伝わって来る。
「大丈夫だ。その辺で隠れてやり過ご――」
「え!?」
突然視界が開けた。そう認識した次の瞬間には、体が沈み込んでいた。瞬く間に秋葉の体が地面からなくなる。あかねも引き摺られて、そのまま崖下へ落下した。
追いかけてきたお面の人物は、そっと崖下を覗いた。薄暗くて良く見えないが、崖から落ちて無事なわけがない。もし無事であったとしても、連絡手段もなければ助けが来るはずもない。
(パソコンも結果的に処分出来たしな……)
お面の中で、やつはニッと口角を持ち上げた。
*
「キャアアア!」
要は絶叫で目が覚めた。声がした方を振り返ると、由希が涙を浮かべて肩で息をしている。要は急いで二段ベットの梯子を下り、反対側の二段ベットの梯子を上って声をかける。
「どうしたの?」
由希が振り返った。雫が跳ねる。悲痛な面持ちで、由希は要に近づいた。
「今……今、何かいて、あかねちゃんをパソコンで殴って殺そうとして、秋葉ちゃんがあかねちゃん助けて、それで、それで……」
半ばパニック状態の由希の腕を擦り、宥めながら要は視線を落とした。向かい側の下段のベットで寝ていたはずの秋葉がいない。まさか、と思った瞬間、
「何かあったの?」
「ねえ、大丈夫? すごい悲鳴だったけど」
ドアの外から上河内と笹崎の声がした。
「大丈夫でーす」
要が返事を返し、とりあえず由希にベットから下りるように促す。ドアの外から会話が聞こえてきた。
「どうしたんだ!?」
「先生。それが、悲鳴がしたものですから、私達も今慌てて来まして」
「ああ。一階の部屋にいても聞こえたよ。何があった?」
「私達にも分からないですよ。大丈夫って返事は聞こえましたけど」
騒がれても困ると、要は少しドアを開けた。
「ああ。吉原さん。何があったの?」
「今現在確認中です。とりあえず大丈夫ですので、お引取りを」
「要ちゃん。大丈夫。わたし、話せるから。それに、知っておいてもらった方が良いような気がするの」
引き返そうと踵を返したが、やつは既に右の道を下って来ている。うまくかわして左の道へ行こうにも、道が狭い。おそらく自分はかわせるだろうが、あかねが途中で捕まるだろう。一瞬でそう判断して、秋葉は森を進んだ。
「大丈夫なの?」
不安げにあかねが叫ぶ。繋いだ手から、震えが伝わって来る。
「大丈夫だ。その辺で隠れてやり過ご――」
「え!?」
突然視界が開けた。そう認識した次の瞬間には、体が沈み込んでいた。瞬く間に秋葉の体が地面からなくなる。あかねも引き摺られて、そのまま崖下へ落下した。
追いかけてきたお面の人物は、そっと崖下を覗いた。薄暗くて良く見えないが、崖から落ちて無事なわけがない。もし無事であったとしても、連絡手段もなければ助けが来るはずもない。
(パソコンも結果的に処分出来たしな……)
お面の中で、やつはニッと口角を持ち上げた。
*
「キャアアア!」
要は絶叫で目が覚めた。声がした方を振り返ると、由希が涙を浮かべて肩で息をしている。要は急いで二段ベットの梯子を下り、反対側の二段ベットの梯子を上って声をかける。
「どうしたの?」
由希が振り返った。雫が跳ねる。悲痛な面持ちで、由希は要に近づいた。
「今……今、何かいて、あかねちゃんをパソコンで殴って殺そうとして、秋葉ちゃんがあかねちゃん助けて、それで、それで……」
半ばパニック状態の由希の腕を擦り、宥めながら要は視線を落とした。向かい側の下段のベットで寝ていたはずの秋葉がいない。まさか、と思った瞬間、
「何かあったの?」
「ねえ、大丈夫? すごい悲鳴だったけど」
ドアの外から上河内と笹崎の声がした。
「大丈夫でーす」
要が返事を返し、とりあえず由希にベットから下りるように促す。ドアの外から会話が聞こえてきた。
「どうしたんだ!?」
「先生。それが、悲鳴がしたものですから、私達も今慌てて来まして」
「ああ。一階の部屋にいても聞こえたよ。何があった?」
「私達にも分からないですよ。大丈夫って返事は聞こえましたけど」
騒がれても困ると、要は少しドアを開けた。
「ああ。吉原さん。何があったの?」
「今現在確認中です。とりあえず大丈夫ですので、お引取りを」
「要ちゃん。大丈夫。わたし、話せるから。それに、知っておいてもらった方が良いような気がするの」