怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
 相槌を打ったときだ。目の端で、電波をキャッチするアイコンが動いたのが見えた。あかねは素早く画面を覗く。電波は弱いが確かに立っている。

「秋葉! 見て!」
「は?」

 急かされつつ秋葉は画面を覗いた。

「マジか?」
「これで、メール出来るわ!」
「どこにする? 警察?」
「そうね。とりあえず警察に!」

 さっそくあかねは、富山県の警察署のホームページにアクセスして、メール受付画面に事の経緯を打ち込んだ。現在の位置情報をマップで調べ、URLを貼り付ける。

「もしかしたら悪戯と思われるかも知れないけど、やらないよりマシよね」と、独り言を呟いて、デスクトップ画面に戻った。

「さて、ちょっと考えてたんだけど、アンタ達一体何を見つけたの?」

 あかねは詰問口調で尋ねたが、秋葉は訝しがって首を傾げた。

「何って?」
「要がここに来てからハッキングしたっていうものよ。それをお面のやつが狙った可能性ってない?」
「ああ。かも知れねぇな。結構なネタだったから」
「それって何よ?」
「いや、お前も知ってるぞ。ほら、アレだよ。大島さんが荒らしや仮面だったってネタだよ」
「それだけ?」
「さあ? 俺はそこまでしか知らねぇ。要は大島さんのスマホのデータ全部盗んだみたいだけど、俺も要も大島さんのティーチューブにログインしたところまでしかデータさらってねぇから」
「要も見てないの?」

 あの要が? と言いたげにあかねは目を見開いた。

「お前が起きて来たからだよ。不機嫌な面して。要に枕投げつけただろ。で、要もお前にバレたら怒られると思ってビビったのか、その後パソコンに触ってなかったみたいだから、多分それだけしか知らねぇと思うけど」
「まっったく!」

 あかねは深くため息をついて、「調べるわよ」と、データを探し出したが、長い腕をぬっと伸ばして、秋葉があかねからパソコンを取り上げた。

「ちょっと!」

 パソコンを取り返そうとしたあかねに、秋葉は人差し指を向けて黙らせた。その指をするっと動かして、あかねの腕に持って行く。

「腕、見せてみろ」
「だ、大丈夫よ」
「良いから見せろ」

 秋葉に強く言われて、あかねは渋々服の袖を捲った。パソコンで殴られたところが赤く腫れあがっている。秋葉は腕をじっと見つめて、

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