怪事件捜査クラブ~十六人谷の伝説~
「多分骨折はしてねぇと思うけど、お前はもう腕動かすな。俺がパソコン動かすから」
「普段パソコンなんて触りもしないくせに。秋葉に分かるの?」
「だから、指示はあかねがしろよ。良いな?」
「……うん」
あかねは照れくさそうに頷いた。
*
大島のデータは簡単に見つかった。データを消去したり、隠したりする時間がなかったためか、ダウンロードのファイルの中にあった。ファイル名が大島だったため、いちいち開いて確認する必要もなかった。
とある人物とのラインのやり取りを見た瞬間、あかねと秋葉は言葉を失った。
「まさか……あの人がそんなこと」
「報せねぇと……。要達に報せねぇと、危ないんじゃねぇのか?」
「いや、知らない方が逆に安全よ」
「でも、あいつはこのパソコンを狙ったんだぜ? これが消えたと思ったとしても、中身を見たかも知れないやつを生かすか?」
「だけど、荒らしや仮面の正体を知っていたからって、ハッキングして知っただなんて、誰も思わないはずよ。そんなの飛躍しすぎだもの。ラインと、あと、荒らしや仮面のあの動画さえ観なければ狙われたりしないはずじゃない? あたし達はたまたま現場を目撃したから襲われたけど」
「確かにそうなんだけど……」
「どうしたの? 秋葉にしてははっきりしないわね」
いつもだったら立場が逆だ。あかねが心配して、秋葉が大丈夫なんとなかるだろうと楽観視する。あかねは言い知れない不安を感じていたが、それはまた秋葉も同じだった。
「分かった。じゃあ、こうしましょう」
あかねはメール画面を開いた。バッテリーを確認すると残り僅かだ。あかねはバッテリーが切れる前に打ち終わることを祈って、メールに文章を書いた。これまでの経緯、おそらく犯人である人物、その人物の動機。そして、大島のスマホから抜き取ったデータを全て添付し、現在の位置情報のURL。最後に、警察と救助隊に連絡し、すぐに事実確認をして欲しいと付け足した。送信ボタンを押すと、電波が弱いためか、添付のデータが重いからか、一時停止してしまった。
「お願い早く送って!」
願いと共に送信完了の合図が出た。ホッと一息つくと同時に、プツンと音がして電源が切れた。
「良かった。間に合ったみたい」
「何してたんだ?」
「連絡したのよ。もう一人の仲間にね」
あかねはウィンクして指を弾いた。
*
「普段パソコンなんて触りもしないくせに。秋葉に分かるの?」
「だから、指示はあかねがしろよ。良いな?」
「……うん」
あかねは照れくさそうに頷いた。
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大島のデータは簡単に見つかった。データを消去したり、隠したりする時間がなかったためか、ダウンロードのファイルの中にあった。ファイル名が大島だったため、いちいち開いて確認する必要もなかった。
とある人物とのラインのやり取りを見た瞬間、あかねと秋葉は言葉を失った。
「まさか……あの人がそんなこと」
「報せねぇと……。要達に報せねぇと、危ないんじゃねぇのか?」
「いや、知らない方が逆に安全よ」
「でも、あいつはこのパソコンを狙ったんだぜ? これが消えたと思ったとしても、中身を見たかも知れないやつを生かすか?」
「だけど、荒らしや仮面の正体を知っていたからって、ハッキングして知っただなんて、誰も思わないはずよ。そんなの飛躍しすぎだもの。ラインと、あと、荒らしや仮面のあの動画さえ観なければ狙われたりしないはずじゃない? あたし達はたまたま現場を目撃したから襲われたけど」
「確かにそうなんだけど……」
「どうしたの? 秋葉にしてははっきりしないわね」
いつもだったら立場が逆だ。あかねが心配して、秋葉が大丈夫なんとなかるだろうと楽観視する。あかねは言い知れない不安を感じていたが、それはまた秋葉も同じだった。
「分かった。じゃあ、こうしましょう」
あかねはメール画面を開いた。バッテリーを確認すると残り僅かだ。あかねはバッテリーが切れる前に打ち終わることを祈って、メールに文章を書いた。これまでの経緯、おそらく犯人である人物、その人物の動機。そして、大島のスマホから抜き取ったデータを全て添付し、現在の位置情報のURL。最後に、警察と救助隊に連絡し、すぐに事実確認をして欲しいと付け足した。送信ボタンを押すと、電波が弱いためか、添付のデータが重いからか、一時停止してしまった。
「お願い早く送って!」
願いと共に送信完了の合図が出た。ホッと一息つくと同時に、プツンと音がして電源が切れた。
「良かった。間に合ったみたい」
「何してたんだ?」
「連絡したのよ。もう一人の仲間にね」
あかねはウィンクして指を弾いた。
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