乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
10.この世界の絶対的君主アリス
アリスの無慈悲な言葉に、アンノウンが膝の痛みを忘れるほど焦ったようすで土下座をした。
「お許しください、アリスさまっ! お許しください! どうか、わたくしめにもう一度チャンスを……」
惨めな姿のアンノウンにさほど興味がないのか、アリスは狂乱の観客席に視線を向けたままだ。
「立っているのも疲れたわ。椅子はどこ? 気が利かないわね」
「はい、アリスさま。すぐに……」
アンノウンがすぐさま舞台の上で四つん這いになると、アリスがドスンと彼の背に尻を乗せた。
そのまま足を組むと、首を捻り「うーん」と唸る。
「でもねえ、どこかで見たような気がするのよ……どこだったかなあ? あそこまでイケメンでイケボなら、絶対にわたしと関わってくるはずなんだけど。おっかしいなあ」
「イ、イケボとは……どのような意味ですか?」
顔を床に向けたままアンノウンがアリスに問う。
「あんたには与えられていないものよ。モブの分際で、なれなれしくわたしに話しかけてこないで」
冷たいアリスの物言いに、なぜかアンノウンが天にも昇るような顔をする。
「申し訳……」
「しゃべらないで。あんたの声も存在も価値なんてないんだから」
そこまで言われても、アンノウンは無上の喜びとでもいうような賛辞を続ける。
「アリスさま……アリスさま。この世界の絶対的君主であられるアリスさま。どうか慈悲を……無価値なわたしに、もう一度チャンスを……」
「ないわよ。あんたの登場はこれで終了。二度目のチャンスなんて最初からないの」
両足をバタバタさせてアンノウンのバランスを取りにくくするアリスに、アンノウンが幸せそうに囁く。
「ああ……アリスさま。せめて、あなたさまの椅子としての運命をまっとうさせてくださいませ」
アリスは、ふんと鼻を鳴らすと、気分よさげに笑った。
「こういう反応が当然なのにねえ? おっかしいなあ、あの男。……あっ! もしかして超弩級って言われてる彼のことかも?!」
アリスが心底楽しいとでも言わんばかりに、高笑いをする。
「なあんだぁ! だったら、いつかはわたしの取り巻きになるんじゃない! すっごく楽しみ。どう攻略しようかなあ」
アンノウンが苦しそうな声で、尻の下から問うてくる。
「こ、このままローゼマリアを逃してよいのですか?」
アリスはうふふ……と笑い、トンと勢いよく舞台の床に足をつけた。
「親衛隊長を向かわせたわ。あんたより頼りになる男よ」
「アリスさま……どうかお慈悲を……」
「あんたはそこであと二十四時間、ひとこともしゃべらず、四つん這いになってなさい。ローゼマリアを逃がした罰よ」
「は、はい……アリスさま。喜んで。それでお許し願いますか?」
「考えておくわ」
大人しく手のひらと膝を舞台の床につけるアンノウンを、アリスは興味なくしたような顔をしたまま舞台裏へと移動した。
「ローゼマリアを高く売って金に換えてやろうと思ったけど、もう面倒だし殺しちゃおうかな」
そして周囲の誰にも聞こえないような声で囁く。
「鬱必須の闇堕ちエンドを見られないのは残念だけど、生きていられても目障りだしね。うん、いい考えだ。消えてもらお」
「お許しください、アリスさまっ! お許しください! どうか、わたくしめにもう一度チャンスを……」
惨めな姿のアンノウンにさほど興味がないのか、アリスは狂乱の観客席に視線を向けたままだ。
「立っているのも疲れたわ。椅子はどこ? 気が利かないわね」
「はい、アリスさま。すぐに……」
アンノウンがすぐさま舞台の上で四つん這いになると、アリスがドスンと彼の背に尻を乗せた。
そのまま足を組むと、首を捻り「うーん」と唸る。
「でもねえ、どこかで見たような気がするのよ……どこだったかなあ? あそこまでイケメンでイケボなら、絶対にわたしと関わってくるはずなんだけど。おっかしいなあ」
「イ、イケボとは……どのような意味ですか?」
顔を床に向けたままアンノウンがアリスに問う。
「あんたには与えられていないものよ。モブの分際で、なれなれしくわたしに話しかけてこないで」
冷たいアリスの物言いに、なぜかアンノウンが天にも昇るような顔をする。
「申し訳……」
「しゃべらないで。あんたの声も存在も価値なんてないんだから」
そこまで言われても、アンノウンは無上の喜びとでもいうような賛辞を続ける。
「アリスさま……アリスさま。この世界の絶対的君主であられるアリスさま。どうか慈悲を……無価値なわたしに、もう一度チャンスを……」
「ないわよ。あんたの登場はこれで終了。二度目のチャンスなんて最初からないの」
両足をバタバタさせてアンノウンのバランスを取りにくくするアリスに、アンノウンが幸せそうに囁く。
「ああ……アリスさま。せめて、あなたさまの椅子としての運命をまっとうさせてくださいませ」
アリスは、ふんと鼻を鳴らすと、気分よさげに笑った。
「こういう反応が当然なのにねえ? おっかしいなあ、あの男。……あっ! もしかして超弩級って言われてる彼のことかも?!」
アリスが心底楽しいとでも言わんばかりに、高笑いをする。
「なあんだぁ! だったら、いつかはわたしの取り巻きになるんじゃない! すっごく楽しみ。どう攻略しようかなあ」
アンノウンが苦しそうな声で、尻の下から問うてくる。
「こ、このままローゼマリアを逃してよいのですか?」
アリスはうふふ……と笑い、トンと勢いよく舞台の床に足をつけた。
「親衛隊長を向かわせたわ。あんたより頼りになる男よ」
「アリスさま……どうかお慈悲を……」
「あんたはそこであと二十四時間、ひとこともしゃべらず、四つん這いになってなさい。ローゼマリアを逃がした罰よ」
「は、はい……アリスさま。喜んで。それでお許し願いますか?」
「考えておくわ」
大人しく手のひらと膝を舞台の床につけるアンノウンを、アリスは興味なくしたような顔をしたまま舞台裏へと移動した。
「ローゼマリアを高く売って金に換えてやろうと思ったけど、もう面倒だし殺しちゃおうかな」
そして周囲の誰にも聞こえないような声で囁く。
「鬱必須の闇堕ちエンドを見られないのは残念だけど、生きていられても目障りだしね。うん、いい考えだ。消えてもらお」