乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
2.婚約者のユージン王太子に断罪されている?
なにごとかと目線を向けると、ローゼマリアは驚きではっと息を呑む。
ユージンが、ピンク色の愛らしいドレスを着た黒髪の女性をエスコートして現れたのだ。
その光景から、さきほどのどよめきは、ユージンが婚約者のローゼマリアではなく、まったく別の女性を伴っていたから起きたと推測できた。
ユージンがギラギラと憤怒を含んだ視線で、ローゼマリアを睨みつけてくる。
ことの事態が理解できないローゼマリアに向かって、ユージンが突然叫喚した。
「ミットフォード公爵令嬢ローゼマリアよ! そなたとの婚約をこの場で破棄する!」
唐突なユージンの発言に、場がシンと静まり返った。
そのあと、ヒソヒソとどこからともなく、囁き声が聞こえてくる。
そんなひとびとの疑惑の目を払いのけるように、ユージンが大声を張り上げた。
「アリスは、私が最も愛し、次期王妃にするつもりの女性だ! 未遂とはいえ謀略で殺害しようとするとは許しがたい!」
言われている内容が、ローゼマリアにはさっぱり理解できない。
婚約者であるはずのユージンが、なぜローゼマリアを激しく糾弾しているのだろうか?
それも謀略だとか殺害だとか、実に突拍子もない話だ。
(どういうことなの? わたくしが彼女を殺害しようとした? 意味がわからないわ)
呆然としていると、ユージンがしたり顔を向けてきた。
「真実を見抜かれて言葉もないようだな。私がそなたの奸計に気づかぬとでも思ったか! 残念だったな、それほど愚かではないものでね」
「王太子殿下。あの……おっしゃられている意味が……」
「黙れ! 弁解などみっともないぞ!」
弁解もなにも、ほんとうに意味がわからないのだ。
(こんな衆人環視の中で、無実のわたくしを一方的に糾弾するなんて、なにを考えていらっしゃるの? 証拠がなければ、立場がまずくなるのは王太子殿下のほうだと思うのだけど……)
まずは、主張の証拠を提出してほしいとと言おうとしたら、ユージンの傍らに立っていた女性に遮られてしまう。
「待って! ユージン。ローゼマリアさんの言いわけを聞きましょうよ。それなりに理由があるかもしれないじゃない?」
敬語もなにもあったものじゃない言葉使いの女性が、ちらりとローゼマリアを一瞥した。
悪徳の限りを尽くしているミストリア王国宰相と、その息がかかった連中によって救国の聖乙女と祭り上げられている女性――
黒髪、黒い目をした彼女の名はアリス。ローゼマリアと同じ十八歳だ。
(勝手に罪をねつ造したあげく、わたくしの発言を言いわけと決めつけるなんて、ふさげているわ。なんの茶番だというの?)
アリスに尻の毛まで抜かれたのか、デロデロに目尻を垂らしたユージンが優しい声色で囁く。
「アリス……君はなんて優しいんだ。嫌がらせをしてきたローゼマリアを庇うのかい?」
「やだ、優しいなんて……私にも、よくない部分があったかもしれないと思うの」
「君によくない部分なんて、あるわけがないよ」
寒々しいほどのやりとりを目にして、ローゼマリアは鼻白んでしまう。
ユージンが、ピンク色の愛らしいドレスを着た黒髪の女性をエスコートして現れたのだ。
その光景から、さきほどのどよめきは、ユージンが婚約者のローゼマリアではなく、まったく別の女性を伴っていたから起きたと推測できた。
ユージンがギラギラと憤怒を含んだ視線で、ローゼマリアを睨みつけてくる。
ことの事態が理解できないローゼマリアに向かって、ユージンが突然叫喚した。
「ミットフォード公爵令嬢ローゼマリアよ! そなたとの婚約をこの場で破棄する!」
唐突なユージンの発言に、場がシンと静まり返った。
そのあと、ヒソヒソとどこからともなく、囁き声が聞こえてくる。
そんなひとびとの疑惑の目を払いのけるように、ユージンが大声を張り上げた。
「アリスは、私が最も愛し、次期王妃にするつもりの女性だ! 未遂とはいえ謀略で殺害しようとするとは許しがたい!」
言われている内容が、ローゼマリアにはさっぱり理解できない。
婚約者であるはずのユージンが、なぜローゼマリアを激しく糾弾しているのだろうか?
それも謀略だとか殺害だとか、実に突拍子もない話だ。
(どういうことなの? わたくしが彼女を殺害しようとした? 意味がわからないわ)
呆然としていると、ユージンがしたり顔を向けてきた。
「真実を見抜かれて言葉もないようだな。私がそなたの奸計に気づかぬとでも思ったか! 残念だったな、それほど愚かではないものでね」
「王太子殿下。あの……おっしゃられている意味が……」
「黙れ! 弁解などみっともないぞ!」
弁解もなにも、ほんとうに意味がわからないのだ。
(こんな衆人環視の中で、無実のわたくしを一方的に糾弾するなんて、なにを考えていらっしゃるの? 証拠がなければ、立場がまずくなるのは王太子殿下のほうだと思うのだけど……)
まずは、主張の証拠を提出してほしいとと言おうとしたら、ユージンの傍らに立っていた女性に遮られてしまう。
「待って! ユージン。ローゼマリアさんの言いわけを聞きましょうよ。それなりに理由があるかもしれないじゃない?」
敬語もなにもあったものじゃない言葉使いの女性が、ちらりとローゼマリアを一瞥した。
悪徳の限りを尽くしているミストリア王国宰相と、その息がかかった連中によって救国の聖乙女と祭り上げられている女性――
黒髪、黒い目をした彼女の名はアリス。ローゼマリアと同じ十八歳だ。
(勝手に罪をねつ造したあげく、わたくしの発言を言いわけと決めつけるなんて、ふさげているわ。なんの茶番だというの?)
アリスに尻の毛まで抜かれたのか、デロデロに目尻を垂らしたユージンが優しい声色で囁く。
「アリス……君はなんて優しいんだ。嫌がらせをしてきたローゼマリアを庇うのかい?」
「やだ、優しいなんて……私にも、よくない部分があったかもしれないと思うの」
「君によくない部分なんて、あるわけがないよ」
寒々しいほどのやりとりを目にして、ローゼマリアは鼻白んでしまう。