乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
6.偽造の旅券証で国外脱出ですか?
シルクガウンをもう一度羽織り、怒り心頭といった調子でリビングへと向かった。
ソファに座るジャファルに、すぐさま文句を言う。
「どういうことですか? 服を用意してくださったのは感謝いたしますが、あ、あんな服、着られませんわ!」
なにやら書類を眺めていた彼が面を上げ、なにごとかとローゼマリアを見返してくる。
「早く着替えてくれ。あと30分でここを出発したい」
「その着替えが……」
あれでは、恐怖のオークションで着せられた服となんら変わりがないではないか。
いや、あのときより、扇情的である。
ブラジャーの形をしただけの胸当てと、スリットの入ったモーブピンク色のスカート。
飾りフラワーがたくさんついているが、とにかく面積が少ない。
娼婦や踊り子どころか、単なる下着といっても差し支えない服が用意されていたのだ。
「あんな……恥ずかしい服、着られませんわ! 別のものを所望いたします!」
ローゼマリアが顔を真っ赤にさせて訴えているのというのに、ジャファルは悠々とした態度を崩さない。
彼が、ローテーブルの上に置いてあった薄い手帳を手に取ると、ローゼマリアに差し出してくる。
それは旅券証であった。
「見て貰いたい」
「話をごまかす気ですか? わたくしは、服のことを言っているのです」
「先に見てくれ。あなたの旅券証だ」
「わたくしの?」
(家族で年に一回は必ず海外旅行に行くから旅券証を持ってはいるけれど……わざわざ取りにいってくださったの? でも確か、屋敷を没収されたと言っていたような……)
疑問に思いながら、受け取った旅券証をパラリと開く。
中身に目を通すと、そこに別の名前が記載されてあることに驚く。
「ローゼ・アルマド・ラ・シーラーン? 偽名の旅券証?」
「そうだ。あなたはこの国で指名手配されている。変装をし、偽の旅券証を使ってこの国を出なければならない」
旅券証の偽造はれっきとした犯罪である。ローゼマリアは、罪に手を染めることをよしとは思えなかった。
「よろしいのですか? そんなことをしたら、犯罪者になってしまいますわ」
「すでに冤罪を被っているではないか。これ以上、この国に留まっていると、もっと大きな罪を擦りつけられるぞ」
そう言われてしまっては、ローゼマリアも受け入れるしかない。
(もしかしてわたくしのために、ジャファルさまも犯罪者になってしまわれるのでは……?)
そんな懸念が脳裏によぎるが、すぐに肝心なことに話を戻す。
「偽名の旅券証と、あのいやらしい服はなんの関係があるのですか?」
ジャファルは悠々と腕を組むと
「当然だ。そなたは今からローゼマリア・ミットフォートでなく、旅券証に書かれているローゼ・アルマド・ラ・シーラーンだ。つまり私の妻ということになる」
「……それで?」
ソファに座るジャファルに、すぐさま文句を言う。
「どういうことですか? 服を用意してくださったのは感謝いたしますが、あ、あんな服、着られませんわ!」
なにやら書類を眺めていた彼が面を上げ、なにごとかとローゼマリアを見返してくる。
「早く着替えてくれ。あと30分でここを出発したい」
「その着替えが……」
あれでは、恐怖のオークションで着せられた服となんら変わりがないではないか。
いや、あのときより、扇情的である。
ブラジャーの形をしただけの胸当てと、スリットの入ったモーブピンク色のスカート。
飾りフラワーがたくさんついているが、とにかく面積が少ない。
娼婦や踊り子どころか、単なる下着といっても差し支えない服が用意されていたのだ。
「あんな……恥ずかしい服、着られませんわ! 別のものを所望いたします!」
ローゼマリアが顔を真っ赤にさせて訴えているのというのに、ジャファルは悠々とした態度を崩さない。
彼が、ローテーブルの上に置いてあった薄い手帳を手に取ると、ローゼマリアに差し出してくる。
それは旅券証であった。
「見て貰いたい」
「話をごまかす気ですか? わたくしは、服のことを言っているのです」
「先に見てくれ。あなたの旅券証だ」
「わたくしの?」
(家族で年に一回は必ず海外旅行に行くから旅券証を持ってはいるけれど……わざわざ取りにいってくださったの? でも確か、屋敷を没収されたと言っていたような……)
疑問に思いながら、受け取った旅券証をパラリと開く。
中身に目を通すと、そこに別の名前が記載されてあることに驚く。
「ローゼ・アルマド・ラ・シーラーン? 偽名の旅券証?」
「そうだ。あなたはこの国で指名手配されている。変装をし、偽の旅券証を使ってこの国を出なければならない」
旅券証の偽造はれっきとした犯罪である。ローゼマリアは、罪に手を染めることをよしとは思えなかった。
「よろしいのですか? そんなことをしたら、犯罪者になってしまいますわ」
「すでに冤罪を被っているではないか。これ以上、この国に留まっていると、もっと大きな罪を擦りつけられるぞ」
そう言われてしまっては、ローゼマリアも受け入れるしかない。
(もしかしてわたくしのために、ジャファルさまも犯罪者になってしまわれるのでは……?)
そんな懸念が脳裏によぎるが、すぐに肝心なことに話を戻す。
「偽名の旅券証と、あのいやらしい服はなんの関係があるのですか?」
ジャファルは悠々と腕を組むと
「当然だ。そなたは今からローゼマリア・ミットフォートでなく、旅券証に書かれているローゼ・アルマド・ラ・シーラーンだ。つまり私の妻ということになる」
「……それで?」