乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
7.ミストリア王国脱出!
彼の妻となることは昨夜聞いている。
百歩譲って、指名手配されているローゼマリアが国外へと脱出するには、偽のパスポートを使うというのも理解した。
しかし、あのセクシーな服と彼の話がつながらない。
「つまりあなたは、私の母国シーラーン王国の女性に変装するということだ。あの衣装は我が国ではよくある服だからな」
「本当ですか? あまりに面積が少ないような……」
「我が国は、夏になると気温が45度になる。ミストリア王国との気温差は約20度。薄い服でないと、猛暑を乗り切れない。暑苦しいドレスなど着込んでいたら熱中症で倒れてしまうぞ」
シーラーン王国へ行ったことのないローゼマリアは、ジャファルの説明をどこまで信じて、どこから疑えばいいのかわからない。
しかし、とりあえずはアリスから逃げるため、両親を探すため、ミストリア王国を脱出しなければならないことだけはわかっている。
「……納得しきしれておりませんが、とりあえずは受け入れます。では今日の目的地はシーラーン王国ということですね」
ローゼマリアがそう問うと、ジャファルが鮮やかに笑った。
「いや。砂漠の最果ての国シーラーン王国へはまっすぐに向かわない。わざと遠回りする」
ローゼマリアの驚愕に対し、ジャファルはニヤリと不敵に笑った。
§§§
ローゼマリアは、ジャファルとともに、ホテルの従業員が出入りする扉の前に立っていた。
彼の提案する脱出計画を、なんども頷きながら頭に入れ込む。
「正面エントランスからラムジが堂々と出る。奴らの目を惹きつけているうちに、私たちは裏の出口から出る」
「わかりましたわ。でも、それではラムジさんが危険な目に遭いませんか?」
「どうだろうな。彼も護身術くらいは心得ている。そう簡単にやられたりしない」
彼の提案する脱出作戦はこうだ。
エントランスから出たラムジが馬車に乗り込むと、アリス一派を引きつれて、まったく別の道へと向かう。
その間に、裏口に待機させている馬にローゼマリアとジャファルが乗り込み、遠回りになるが国境へと向かうという算段だ。
ファイサルはラムジと一緒に行動するので、ローゼマリアとジャファルのふたりで隠密に行動することになる。
ジャファルとともに厨房をとおり抜けて、裏口へと向かう。
小さな扉を抜けると、裏門へ向かってひた走る。
そこに、ふたり乗り用の鞍を設置された馬が待機していた。
「馬車がないのですが……」
「一緒に乗って、私が手綱を操る」
「ジャファルさまが?」
(乗馬ができるなんて、もしかして彼は騎士なのかしら?)
ミストリア王国では馬は馬車を引く仕事がほとんどで、乗馬をするのは騎馬兵くらいだ。
だから馬が扱えるという返答に、少しばかり驚いでしまう。
それも束の間。一直線に馬車へ向かって走っていたら――
「そうはさせんぞ! この犯罪者め!」
「きゃっ……?!」
百歩譲って、指名手配されているローゼマリアが国外へと脱出するには、偽のパスポートを使うというのも理解した。
しかし、あのセクシーな服と彼の話がつながらない。
「つまりあなたは、私の母国シーラーン王国の女性に変装するということだ。あの衣装は我が国ではよくある服だからな」
「本当ですか? あまりに面積が少ないような……」
「我が国は、夏になると気温が45度になる。ミストリア王国との気温差は約20度。薄い服でないと、猛暑を乗り切れない。暑苦しいドレスなど着込んでいたら熱中症で倒れてしまうぞ」
シーラーン王国へ行ったことのないローゼマリアは、ジャファルの説明をどこまで信じて、どこから疑えばいいのかわからない。
しかし、とりあえずはアリスから逃げるため、両親を探すため、ミストリア王国を脱出しなければならないことだけはわかっている。
「……納得しきしれておりませんが、とりあえずは受け入れます。では今日の目的地はシーラーン王国ということですね」
ローゼマリアがそう問うと、ジャファルが鮮やかに笑った。
「いや。砂漠の最果ての国シーラーン王国へはまっすぐに向かわない。わざと遠回りする」
ローゼマリアの驚愕に対し、ジャファルはニヤリと不敵に笑った。
§§§
ローゼマリアは、ジャファルとともに、ホテルの従業員が出入りする扉の前に立っていた。
彼の提案する脱出計画を、なんども頷きながら頭に入れ込む。
「正面エントランスからラムジが堂々と出る。奴らの目を惹きつけているうちに、私たちは裏の出口から出る」
「わかりましたわ。でも、それではラムジさんが危険な目に遭いませんか?」
「どうだろうな。彼も護身術くらいは心得ている。そう簡単にやられたりしない」
彼の提案する脱出作戦はこうだ。
エントランスから出たラムジが馬車に乗り込むと、アリス一派を引きつれて、まったく別の道へと向かう。
その間に、裏口に待機させている馬にローゼマリアとジャファルが乗り込み、遠回りになるが国境へと向かうという算段だ。
ファイサルはラムジと一緒に行動するので、ローゼマリアとジャファルのふたりで隠密に行動することになる。
ジャファルとともに厨房をとおり抜けて、裏口へと向かう。
小さな扉を抜けると、裏門へ向かってひた走る。
そこに、ふたり乗り用の鞍を設置された馬が待機していた。
「馬車がないのですが……」
「一緒に乗って、私が手綱を操る」
「ジャファルさまが?」
(乗馬ができるなんて、もしかして彼は騎士なのかしら?)
ミストリア王国では馬は馬車を引く仕事がほとんどで、乗馬をするのは騎馬兵くらいだ。
だから馬が扱えるという返答に、少しばかり驚いでしまう。
それも束の間。一直線に馬車へ向かって走っていたら――
「そうはさせんぞ! この犯罪者め!」
「きゃっ……?!」