乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
2.ジャファルと一緒にバザール散策
すぐさまラムジが手綱を引き寄せると、馬を進ませる。
こうして3人は、騒ぎを起こすことなく国境の門を通り抜けた。
(心臓がドクンドクンと激しく高鳴っているわ……聞こえなければいいのだけど……)
「ふう……」
冷や汗が額から流れ、そっと手の甲で拭う。
「ローゼマリア。まだ窓から見える距離だ。気を抜かず堂々としていろ」
「は、はい……」
ローゼマリアは周囲を窺いながら、馬車の中で無表情を装った。
国境を越えたら、そこはアルファーシ王国だ。
ミストリア王国からシーラーン王国へは、整備された街道を馬車で移動すれば、2日で到着するという。
だがここは、あえて遠回りをし、アルファーシ王国の砂漠を横断すると、ジャファルは決断した。
すでにアリスたちには、彼がシーラーン王国の人間だと知られている。
最短ルートを使えば、待ち伏せされるだろうと推測したのだ。
「シーラーン王国に入るまで油断はならない。慎重に、かつ俊敏に進行する」
(ゲームの舞台は主にミストリア王国内だったから、アルファーシ王国のこともシーラーン王国のこともまったく知らないわ。……というか、ゲームに登場しない国や人物も、この世界では存在しているのね。不思議……)
ローゼマリアとジャファルは、大きなヤシの木の下で馬車から下りた。
「ここからは砂漠横断だ。ラムジ」
「はい」
ラムジがジャファルの前にきて、小さく頭を下げる。
「ラクダの手配を頼む」
「かしこまりました。では30分後に落ち合いましょう」
彼はそう言うと、人混みに紛れてしまった。
ラムジの姿が見えなくなると、シーラーン王国までの道のりに、いろいろな不安が沸いてくる。
「ラクダ……ですか? わたくし、乗ったことはありません。砂漠の移動も初めてですわ」
「大丈夫だ。私が一緒に乗る。砂漠は、オアシスの場所さえ頭に入っていれば、そう危険な場所ではない」
「そうでございますか」
「ラムジがラクダを調達する間、時間を潰すか」
ラムジが視線を向けた方向へ、ローゼマリアも顔を向ける。
旅行客や行商隊のために、土産物を買う店や休憩所、宿屋などが建ち並んでいた。
賑わいのあるバザールに、ローゼマリアは興味津々になってしまう。
「わたくし、散策したいですわ。バザールを見るのは初めてですから」
楽しそうな雰囲気に浮き足立つローゼマリアを、ジャファルが愛おしいものでも見るように笑う。
「いいぞ。しかし、私のそばを離れるなよ」
「はい。ジャファルさま」
ジャファルとともに、バザールの人混みへと向かう。
こうして3人は、騒ぎを起こすことなく国境の門を通り抜けた。
(心臓がドクンドクンと激しく高鳴っているわ……聞こえなければいいのだけど……)
「ふう……」
冷や汗が額から流れ、そっと手の甲で拭う。
「ローゼマリア。まだ窓から見える距離だ。気を抜かず堂々としていろ」
「は、はい……」
ローゼマリアは周囲を窺いながら、馬車の中で無表情を装った。
国境を越えたら、そこはアルファーシ王国だ。
ミストリア王国からシーラーン王国へは、整備された街道を馬車で移動すれば、2日で到着するという。
だがここは、あえて遠回りをし、アルファーシ王国の砂漠を横断すると、ジャファルは決断した。
すでにアリスたちには、彼がシーラーン王国の人間だと知られている。
最短ルートを使えば、待ち伏せされるだろうと推測したのだ。
「シーラーン王国に入るまで油断はならない。慎重に、かつ俊敏に進行する」
(ゲームの舞台は主にミストリア王国内だったから、アルファーシ王国のこともシーラーン王国のこともまったく知らないわ。……というか、ゲームに登場しない国や人物も、この世界では存在しているのね。不思議……)
ローゼマリアとジャファルは、大きなヤシの木の下で馬車から下りた。
「ここからは砂漠横断だ。ラムジ」
「はい」
ラムジがジャファルの前にきて、小さく頭を下げる。
「ラクダの手配を頼む」
「かしこまりました。では30分後に落ち合いましょう」
彼はそう言うと、人混みに紛れてしまった。
ラムジの姿が見えなくなると、シーラーン王国までの道のりに、いろいろな不安が沸いてくる。
「ラクダ……ですか? わたくし、乗ったことはありません。砂漠の移動も初めてですわ」
「大丈夫だ。私が一緒に乗る。砂漠は、オアシスの場所さえ頭に入っていれば、そう危険な場所ではない」
「そうでございますか」
「ラムジがラクダを調達する間、時間を潰すか」
ラムジが視線を向けた方向へ、ローゼマリアも顔を向ける。
旅行客や行商隊のために、土産物を買う店や休憩所、宿屋などが建ち並んでいた。
賑わいのあるバザールに、ローゼマリアは興味津々になってしまう。
「わたくし、散策したいですわ。バザールを見るのは初めてですから」
楽しそうな雰囲気に浮き足立つローゼマリアを、ジャファルが愛おしいものでも見るように笑う。
「いいぞ。しかし、私のそばを離れるなよ」
「はい。ジャファルさま」
ジャファルとともに、バザールの人混みへと向かう。