乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
3.でっちあげの救国の聖女
宰相がブレンダンに向かって、冷ややかな視線を送った。
「おやおや。お久しぶりですな、ミットフォート公爵。顔が真っ黒ではないですか。服装も変わったものをお召しですなあ」
「日焼けですよ。おかげさまでね。砂漠を横断するなんて人生初めてのことでしたから。服ですか? いやあ、キャラバン隊の一員に見せかけるためですよ」
「ほう、それは、それは。なかなか、しぶといおかたですなあ」
何食わぬ顔でそう返してくる宰相に、ブレンダンが目をすがめて睨みつける。
「私はおまえらの不正の証拠を握っている。国庫から勝手に金を抜き出し、贅沢の限りを尽くしていただろう。それに気がついて証拠を集めていた私を、冤罪で陥れた。その……」
怖いものなしといった風情で脚を組むアリスを凝視すると、忌々しい口調で言い捨てる。
「救世の聖乙女などといった、でっちあげの聖女を使ってな」
ブレンダンが紙束を胸のポケットから取り出しすと、アリスと宰相に見せつけるようにして突き出した。
「ここにすべて金の動きを詳細に書いてある。証拠としてミストリア王室に提出し、出庫明細と照らし合わせたら、おまえらの不正は暴かれる。覚悟しろ」
証拠の紙束を目にして、アリスが腹を抱えて笑い出す。
「あはははは……だから、なに? 私のお金を私がどう使おうと自由でしょ? 私はもうすぐ王妃になるのよ? 国庫の金を使ってなにが悪いの?」
ジャファルが呆れた声で、言葉を差し込んだ。
「ミストリア王妃はご存命で、健康そうに見えるがな」
アリスが、肩を竦めてこともなげに言い返す。
「フォーチュンナイトたちに殺させるわよ。ユージンあたりにやらせようかしら」
簡単に「殺す」と口にするアリスに対し、ローゼマリアは頭にカッと血が上ってしまう。
「親を殺させるなんて言う、あなたのほうが傾国の悪魔だわ!」
ローゼマリアの激怒に、アリスはしらっとした顔をするだけだ。
そんな人間としての心のなさが、ローゼマリアには虫酸が走ってしまう。
「親より私のほうがだいじなはずよ。私の命令はなんでも聞くんだから」
そこまで言われて、ローゼマリアは怒り心頭になってしまう。
「……なぜ、あなたのように凶悪な女性が、救国の聖乙女なのです? いったいなにを救うというのですか? あなたには、誰も……なにも救えませんわ!」
ローゼマリアの激情をともなった怒りに、アリスは唇を尖らせて、手のひらををひょいと見せた。
「知らない。気がついたときは、そういう役目だったのよ。しょうがないじゃない?」
気がついたときには――?
「おやおや。お久しぶりですな、ミットフォート公爵。顔が真っ黒ではないですか。服装も変わったものをお召しですなあ」
「日焼けですよ。おかげさまでね。砂漠を横断するなんて人生初めてのことでしたから。服ですか? いやあ、キャラバン隊の一員に見せかけるためですよ」
「ほう、それは、それは。なかなか、しぶといおかたですなあ」
何食わぬ顔でそう返してくる宰相に、ブレンダンが目をすがめて睨みつける。
「私はおまえらの不正の証拠を握っている。国庫から勝手に金を抜き出し、贅沢の限りを尽くしていただろう。それに気がついて証拠を集めていた私を、冤罪で陥れた。その……」
怖いものなしといった風情で脚を組むアリスを凝視すると、忌々しい口調で言い捨てる。
「救世の聖乙女などといった、でっちあげの聖女を使ってな」
ブレンダンが紙束を胸のポケットから取り出しすと、アリスと宰相に見せつけるようにして突き出した。
「ここにすべて金の動きを詳細に書いてある。証拠としてミストリア王室に提出し、出庫明細と照らし合わせたら、おまえらの不正は暴かれる。覚悟しろ」
証拠の紙束を目にして、アリスが腹を抱えて笑い出す。
「あはははは……だから、なに? 私のお金を私がどう使おうと自由でしょ? 私はもうすぐ王妃になるのよ? 国庫の金を使ってなにが悪いの?」
ジャファルが呆れた声で、言葉を差し込んだ。
「ミストリア王妃はご存命で、健康そうに見えるがな」
アリスが、肩を竦めてこともなげに言い返す。
「フォーチュンナイトたちに殺させるわよ。ユージンあたりにやらせようかしら」
簡単に「殺す」と口にするアリスに対し、ローゼマリアは頭にカッと血が上ってしまう。
「親を殺させるなんて言う、あなたのほうが傾国の悪魔だわ!」
ローゼマリアの激怒に、アリスはしらっとした顔をするだけだ。
そんな人間としての心のなさが、ローゼマリアには虫酸が走ってしまう。
「親より私のほうがだいじなはずよ。私の命令はなんでも聞くんだから」
そこまで言われて、ローゼマリアは怒り心頭になってしまう。
「……なぜ、あなたのように凶悪な女性が、救国の聖乙女なのです? いったいなにを救うというのですか? あなたには、誰も……なにも救えませんわ!」
ローゼマリアの激情をともなった怒りに、アリスは唇を尖らせて、手のひらををひょいと見せた。
「知らない。気がついたときは、そういう役目だったのよ。しょうがないじゃない?」
気がついたときには――?