乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
5.アリスの絶対的命令で、ローゼマリアはユージンに殺されるのか?
しかしユージンはローゼマリアではなく、なぜかアリスの前に立った。
「アリス。教えてくれ。これまで君の言うことをすべて聞き入れていたが、ローゼマリアにどんな非があるというんだ?」
アリスは首を傾げると、すぐに動かないユージンにイライラした口調で罵倒する。
「はあ? あんたたちって本当にグズでノロマね。早く私の命令どおり動きなさいよ」
「アリス! 先に私の質問に答えてくれ!」
「今更なにを言ってるのよ? ローゼマリアはすでに指名手配になってるじゃない。見つけ次第殺すっていう話でしょ? さっさとしなさいよ」
そこまで言われても、ユージンはアリスから顔を背けなかった。
「ほんとうにローゼマリアは君を殺害しようとしたのか? 証拠がどこにもないのはおかしい。私たちの行動は本当に正しかったのか?」
「グタグタ煩いわね! ああっもう、罪が足りないっていうの? じゃあ、ローゼマリアは国庫から金を盗んだのよ。それでいい?」
「アリス! そんな取ってつけたような……」
「うるさい! うるさい! 私にたてつくんじゃない! あんたらは私……アリスに絶対服従なんだよ! 初めからそんな運命なんだ! さっさとローゼマリアを殺せ!」
「アリス……」
「早くしなさいよ! 私の命令よ! ユージン! ローゼマリアをあんたの剣で突き殺せ!」
「アリス……君の命令……」
ユージンがフラフラと身体の向きを変えると、剣の先をローゼマリアに向けてきた。
鋭い切っ先が鈍く光り、ローゼマリアの喉がヒュッと鳴る。
アリスがユージンの背後から、煽るような号令をかける。
「そうよ! ローゼマリアは国庫から金を盗んだの! だから殺しちゃっていいのよ!」
婚約者だった男に剣を突きつけられ、ローゼマリアは驚きと悲しみで震えてしまう。
「ああ……そんな……王太子殿下! 目を覚まして。あなたは騙されているのよ!」
「ローゼマリア……私は……」
混乱するユージンに、ローゼマリアは懸命に訴える。
「思い出して! かつての、わたくしとあなたのことを!」
政略結婚ではあったが、ローゼマリアはユージンを愛していた。
形ばかりのデートだってしたし、誕生日にはプレゼントの交換だってした。
それは、もう遠い思い出だけど――
それでも楽しかったひとときは、確かに存在した。
ほんの欠片でもいい。気持ちを交し合った過去を、思い出してほしかった。
「ああ……ローゼマリア……私は……うっ……うわぁ……ああああああっ!」
ユージンが相反する感情でパニックを起こし、剣を振り上げた、そのとき――
「アリス。教えてくれ。これまで君の言うことをすべて聞き入れていたが、ローゼマリアにどんな非があるというんだ?」
アリスは首を傾げると、すぐに動かないユージンにイライラした口調で罵倒する。
「はあ? あんたたちって本当にグズでノロマね。早く私の命令どおり動きなさいよ」
「アリス! 先に私の質問に答えてくれ!」
「今更なにを言ってるのよ? ローゼマリアはすでに指名手配になってるじゃない。見つけ次第殺すっていう話でしょ? さっさとしなさいよ」
そこまで言われても、ユージンはアリスから顔を背けなかった。
「ほんとうにローゼマリアは君を殺害しようとしたのか? 証拠がどこにもないのはおかしい。私たちの行動は本当に正しかったのか?」
「グタグタ煩いわね! ああっもう、罪が足りないっていうの? じゃあ、ローゼマリアは国庫から金を盗んだのよ。それでいい?」
「アリス! そんな取ってつけたような……」
「うるさい! うるさい! 私にたてつくんじゃない! あんたらは私……アリスに絶対服従なんだよ! 初めからそんな運命なんだ! さっさとローゼマリアを殺せ!」
「アリス……」
「早くしなさいよ! 私の命令よ! ユージン! ローゼマリアをあんたの剣で突き殺せ!」
「アリス……君の命令……」
ユージンがフラフラと身体の向きを変えると、剣の先をローゼマリアに向けてきた。
鋭い切っ先が鈍く光り、ローゼマリアの喉がヒュッと鳴る。
アリスがユージンの背後から、煽るような号令をかける。
「そうよ! ローゼマリアは国庫から金を盗んだの! だから殺しちゃっていいのよ!」
婚約者だった男に剣を突きつけられ、ローゼマリアは驚きと悲しみで震えてしまう。
「ああ……そんな……王太子殿下! 目を覚まして。あなたは騙されているのよ!」
「ローゼマリア……私は……」
混乱するユージンに、ローゼマリアは懸命に訴える。
「思い出して! かつての、わたくしとあなたのことを!」
政略結婚ではあったが、ローゼマリアはユージンを愛していた。
形ばかりのデートだってしたし、誕生日にはプレゼントの交換だってした。
それは、もう遠い思い出だけど――
それでも楽しかったひとときは、確かに存在した。
ほんの欠片でもいい。気持ちを交し合った過去を、思い出してほしかった。
「ああ……ローゼマリア……私は……うっ……うわぁ……ああああああっ!」
ユージンが相反する感情でパニックを起こし、剣を振り上げた、そのとき――