乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
6.追いつめられた救国の聖女
『だから、なに? 私のお金を私がどう使おうと自由でしょ? 私はもうすぐ王妃になるのよ? 国庫の金を使ってなにが悪いの?』
突然、どこからかアリスの声が聞こえて、ユージンの動きがピタリと止まる。
『ミストリア王妃はご存命で、健康そうに見えるがな』
『フォーチュンナイトたちに殺させるわよ。ユージンあたりにやらせようかしら』
『親より私のほうがだいじなはずよ。私の命令はなんでも聞くんだから』
その場にいた全員が、いっせいにジャファルのほうへと視線を集中させる。
ジャファルの手の中で、聖鏡水晶がキラリと光った。
「い、今のは……」
「君たちがここに到着するまでに、アリスが言い放った暴言だ」
「そんな……じゃあ……国庫の金を盗んだのは……」
「きさまらが救国の聖王女と呼んでいる、そこの女だ」
ユージンが呆然としたようすで脱力した。その拍子に、手にしていた剣を取り落とす。
「アリス……君は、私に親殺しをしろと……」
アリスが悪びれることなく、首を傾げてくる。
「そうよ? 私が王妃になるためにね。なにが悪いの?」
ユージンが信じられないといった色を目に浮かべ、疑惑をアリスに向ける。
「ローゼマリアが、国庫の金を盗んだと言ったのは……罪をなすりつけるための嘘なのか?」
「だからなに? もういいわ、ユージンに頼まない。ダルトン、あんたがやって。ここでローゼマリアを殺しなさいよ。これまでの失態を取り戻すチャンスよ?」
アリスの命令に、ダルトンの巨躯が少しだけ動いたが――
剣に手をかけると、すぐに手をだらりと下方へと落としてしまった。
「ちょっと! どうしたのよ?」
「できません……」
ダルトンはうなだれたまま、その場で棒立ちしてしまう。
アリスは舌打ちすると、ほかのフォーチュンナイトに命令した。
「誰でもいいわ。さっさとやっちゃって!」
しかし誰ひとりアリスの命令に従うことなく、その場から動かない。
ただひとり動いたのは、落ちた剣を拾うユージンだけであった。
「のろまな連中ね。ユージン、さっさとしなさいよ」
しかしユージンの剣先は、アリスへと向けられた。
連動するように、ほかのフォーチュンナイトも剣を抜き、アリスに向かって突きつけられる。
「どういうことよ……ちょ、宰相! ねえ、なんとかしてよ!」
喚くアリスに、宰相が目を伏せて頭を左右に振った。
コーヒーカップをソーサーにガチャッと戻すと、不愉快極まりないといった口調で零した。
「この愚か者め。調子に乗ってペラペラとしゃべりまくるからだ。まさか、頭の悪さと低俗さが、男の心を掴む希有な技を上回るとは……」
突然、どこからかアリスの声が聞こえて、ユージンの動きがピタリと止まる。
『ミストリア王妃はご存命で、健康そうに見えるがな』
『フォーチュンナイトたちに殺させるわよ。ユージンあたりにやらせようかしら』
『親より私のほうがだいじなはずよ。私の命令はなんでも聞くんだから』
その場にいた全員が、いっせいにジャファルのほうへと視線を集中させる。
ジャファルの手の中で、聖鏡水晶がキラリと光った。
「い、今のは……」
「君たちがここに到着するまでに、アリスが言い放った暴言だ」
「そんな……じゃあ……国庫の金を盗んだのは……」
「きさまらが救国の聖王女と呼んでいる、そこの女だ」
ユージンが呆然としたようすで脱力した。その拍子に、手にしていた剣を取り落とす。
「アリス……君は、私に親殺しをしろと……」
アリスが悪びれることなく、首を傾げてくる。
「そうよ? 私が王妃になるためにね。なにが悪いの?」
ユージンが信じられないといった色を目に浮かべ、疑惑をアリスに向ける。
「ローゼマリアが、国庫の金を盗んだと言ったのは……罪をなすりつけるための嘘なのか?」
「だからなに? もういいわ、ユージンに頼まない。ダルトン、あんたがやって。ここでローゼマリアを殺しなさいよ。これまでの失態を取り戻すチャンスよ?」
アリスの命令に、ダルトンの巨躯が少しだけ動いたが――
剣に手をかけると、すぐに手をだらりと下方へと落としてしまった。
「ちょっと! どうしたのよ?」
「できません……」
ダルトンはうなだれたまま、その場で棒立ちしてしまう。
アリスは舌打ちすると、ほかのフォーチュンナイトに命令した。
「誰でもいいわ。さっさとやっちゃって!」
しかし誰ひとりアリスの命令に従うことなく、その場から動かない。
ただひとり動いたのは、落ちた剣を拾うユージンだけであった。
「のろまな連中ね。ユージン、さっさとしなさいよ」
しかしユージンの剣先は、アリスへと向けられた。
連動するように、ほかのフォーチュンナイトも剣を抜き、アリスに向かって突きつけられる。
「どういうことよ……ちょ、宰相! ねえ、なんとかしてよ!」
喚くアリスに、宰相が目を伏せて頭を左右に振った。
コーヒーカップをソーサーにガチャッと戻すと、不愉快極まりないといった口調で零した。
「この愚か者め。調子に乗ってペラペラとしゃべりまくるからだ。まさか、頭の悪さと低俗さが、男の心を掴む希有な技を上回るとは……」