乙女ゲームの断罪エンド悪役令嬢に転生しました ~超弩級キャラのイケメンシークがお買い上げっ?!~
エピローグ 華やかな結婚式
1.晴れの日、当日―― ローゼマリアと両親
なぜかジャファルが、結婚式の進行から手配までを、ラムジに依頼してきたのである。
さすがのラムジも断ろうと思った。
「国王陛下。そればかりは専門職を雇ったほうがよいと考えます。私はローゼマリア奥さまのウェディングドレスなど用意できませんよ?」
しかしジャファルは恋愛脳になってしまったのか、まったくひとの話を聞き入れなかった。
「そんなことはない。ローゼもラムジのセンスは少しエロいが、最高にいいと口にしている。それに私も、おまえが仕切ってくれるほうが安心できるのでな」
エロいは余計である。ジャファルの妻となるローゼマリアの服を調達するさい、自分の好みをあれやこれやと注文つけてきたのは、ジャファルのほうだ。
そこまで言われては、ラムジとしては本気を出すしかない。
全身全霊を込め、細心の注意を払い、すべてのことに気を回し、自分の実力をすべて出し切って、君主の盛大な結婚式を執り行ったのである。
§§§
ローゼマリアは、今日ジャファルと結婚する。
白いウェディングドレスはシーラーン風で、純白ではあるが暑い国らしく肩や腕を覆ってはいなかった。
レースは細やかな職人の手作業で、胸もとが大きく開いてはいたが、長いヴェールでそのあたりは隠されている。
ウエストは細くシェイプされ、しなやかなマーメイドラインの上に、ふわりとしたシフォンのレースが軽やかに揺れていた。
ジュエリー類はほとんど身につけていなかったが、首にはシーラーン王国の名産である、大きなダイヤモンドのネックレスがきらめいていた。
当然ヴェールの上に飾られているティアラにも、たくさんのダイヤモンドが埋め込まれている。
いつもは黒のカンドゥーラにカフタンガウンを羽織っているジャファルだが、今日は全身が真っ白であった。
カフタンガウンは、ローゼマリアのドレスと同じ刺繍が施されている。
ジャファルとローゼマリアは挙式を終えたあと、宮殿の尖塔にあるバルコニーにて、シーラーン王国民に挨拶することになっていた。
間もなくその時間になるが、両親がローゼマリアの艶姿をひと目見たくて、一緒にバルコニーに上がってきた。
「素晴らしいねえ。ローゼ」
「ほんとうに。綺麗だわ」
「お父さま、お母さま」
両親が嬉しそうに微笑んでいるので、ローゼマリアも泣きそうになってしまう。
父と母は、ミストリア王国の国王陛下からなんども親書を受け取ったが、頑なに母国へは戻らなかった。
「しばらくゆっくりと、夫婦水入らずで過ごそうと思っているのだよ。今戻っても、仕事が山積みだろう? 宰相のやらかした悪事の後始末なんて、やりたくないからねえ」
そんなことを言い、ジャファルの用意してくれた別荘で、ふたり楽しくシーラーン生活を満喫している。
「でもミストリア王国は、お父さまがいなくなって大変なのではないかしら? なにしろ国政に費やす政費が減ってしまっているもの」
アリスが無駄遣いした金額は、ミストリアの国家予算、なんと三年分であった。
さすがのラムジも断ろうと思った。
「国王陛下。そればかりは専門職を雇ったほうがよいと考えます。私はローゼマリア奥さまのウェディングドレスなど用意できませんよ?」
しかしジャファルは恋愛脳になってしまったのか、まったくひとの話を聞き入れなかった。
「そんなことはない。ローゼもラムジのセンスは少しエロいが、最高にいいと口にしている。それに私も、おまえが仕切ってくれるほうが安心できるのでな」
エロいは余計である。ジャファルの妻となるローゼマリアの服を調達するさい、自分の好みをあれやこれやと注文つけてきたのは、ジャファルのほうだ。
そこまで言われては、ラムジとしては本気を出すしかない。
全身全霊を込め、細心の注意を払い、すべてのことに気を回し、自分の実力をすべて出し切って、君主の盛大な結婚式を執り行ったのである。
§§§
ローゼマリアは、今日ジャファルと結婚する。
白いウェディングドレスはシーラーン風で、純白ではあるが暑い国らしく肩や腕を覆ってはいなかった。
レースは細やかな職人の手作業で、胸もとが大きく開いてはいたが、長いヴェールでそのあたりは隠されている。
ウエストは細くシェイプされ、しなやかなマーメイドラインの上に、ふわりとしたシフォンのレースが軽やかに揺れていた。
ジュエリー類はほとんど身につけていなかったが、首にはシーラーン王国の名産である、大きなダイヤモンドのネックレスがきらめいていた。
当然ヴェールの上に飾られているティアラにも、たくさんのダイヤモンドが埋め込まれている。
いつもは黒のカンドゥーラにカフタンガウンを羽織っているジャファルだが、今日は全身が真っ白であった。
カフタンガウンは、ローゼマリアのドレスと同じ刺繍が施されている。
ジャファルとローゼマリアは挙式を終えたあと、宮殿の尖塔にあるバルコニーにて、シーラーン王国民に挨拶することになっていた。
間もなくその時間になるが、両親がローゼマリアの艶姿をひと目見たくて、一緒にバルコニーに上がってきた。
「素晴らしいねえ。ローゼ」
「ほんとうに。綺麗だわ」
「お父さま、お母さま」
両親が嬉しそうに微笑んでいるので、ローゼマリアも泣きそうになってしまう。
父と母は、ミストリア王国の国王陛下からなんども親書を受け取ったが、頑なに母国へは戻らなかった。
「しばらくゆっくりと、夫婦水入らずで過ごそうと思っているのだよ。今戻っても、仕事が山積みだろう? 宰相のやらかした悪事の後始末なんて、やりたくないからねえ」
そんなことを言い、ジャファルの用意してくれた別荘で、ふたり楽しくシーラーン生活を満喫している。
「でもミストリア王国は、お父さまがいなくなって大変なのではないかしら? なにしろ国政に費やす政費が減ってしまっているもの」
アリスが無駄遣いした金額は、ミストリアの国家予算、なんと三年分であった。