星空ラブソング
「1人でも2人でもありがたいから、無理はしないでね。よろしくお願いします」

「はい!お役に立てるよう頑張ります」

三原君がくれたガッツポーズに微笑みを返した。

午後10時を回る頃、お祭りが終わりすっかり静まり返った駅に着いた。

ホームが逆の私たちは、改札を抜けて階段下で立ち止まる。

「三原君、今日はありがとう」

「こちらこそ、ありがとうございました。就活とか卒論とか大変な時期と思いますが、1人で抱え込みすぎないでくださいね。俺にできることあったら全力でやりますんで」

力強さと優しさとを感じるような声だった。

「三原君って優しいね」

「そうですか?」

三原君は、疑問形になりながら目を細めて笑って指で頭をかいた。

その時、駅員のアナウンスが聞こえてきて、三原君が背中を押してくれるように言った。


「沢田さんの方の電車くるみたいですね。遅くなっちゃう前に行ってください」


私はもう一度お礼を告げてから階段を上がる。

途中で立ち止まって振り向くと、三原君がこちらに向かって手を振っているのが見えた。


私も小さく振り返して、再び体の向きをかえてホームに向かった。
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