星空ラブソング
「三原君は、友達として好きです」
「そう。あの子、優しくてとってもいい子だと思うけどねぇ。違う人なのね」
改めて言葉にしようと考えると、竹田さんってどんな人なのかな。
私のことは伝えているけれど、竹田さんのことはあまり知らないことに気がついた。
「大学にいる人なの?」
美喜江さんが、まるで少女みたいに瞳をキラキラとさせて聞くから、私は小さく頷いて答えた。
「はい。私がうんと見上げるくらい背が高くて、初めの印象は、無表情でどこか不機嫌そうで、なんだか怖い印象でした。でも、本当はそうじゃなくて、はにかんだ笑顔が優しくて、頭上の電気をそっとつけてくれて、私を導いてくれるような人で...」
私は言葉をつまらせた。
叶わない恋を話したところで何になるんだろう。無駄なことなのかもしれない。
「無謀な片思いなんです」
「まぁ!どうしてそんなこと...」
「その人は、結婚して子どもがいる方なんです。だから思いも伝えないし、私の一方的な感情なんです」
気づいたら泣いていた。
行き場の見えないこの気持ちを美喜江さんなら受け止めてくれるかもしれないと、無理やり蓋をしていた感情が一気に溢れ出していくみたいだった。
「わかってるんです。こんな気持ち早く消しちゃいたいんです。報われるわけないのに、どうしてこんなに好きなんだろう...」
「そう。大切な人なのね」
美喜江さんの手が伸びてきて、嗚咽する私の背中をさすってくれた。
そして、竹田さんへの取り留めのない思いをただ頷いて聞いてくれていた。