星空ラブソング
大学の後期が始まった9月下旬の登校日初日に竹田さんを訪ねて、まめまめカンパニーの報告をした。
「へえ、すごいじゃん。読むよその記事」
「URL後で送りますね!」
「うん。送って」
教務課の窓口付近の廊下で小さな声で立ち話をした。
久しぶりに見れた、竹田さんの笑顔に胸が一杯になる。
どんな形でならこの思いを伝えることが許されるんだろう。
今は、目の前のことを精一杯やっていくことが、その唯一の方法なのかもしれない。
「あ、そうだ。アンケート、5人しか集められなかったよ。ごめん」
竹田さんは、申し訳なさそうな顔で透明なファイルを手渡してくれた。
それを受け取って、私は大きく首を横に振って頭をさげた。
「本当にありがたいです」
美喜江さんからは、今日の授業は病院の検査で欠席するから、回答は今週中になんらかの形で渡すようにしますとの連絡が入っていた。
体調は大したことないらしいけど、年齢上念のため大事をとって検査をするということだ。
三原君からは、今朝の経済学概論の時間に3枚受け取った。
「あと何人くらいなの?」と竹田さんが聞いた。
「あと2人で100人です!」
「すげぇ、もうすぐだね。もう自分で書いちゃってもいいじゃん?」
意地悪っぽく口角を上げながら言うから私は真面目ぶって返した。
「ここまで来たからには、最後の1人まで完走します」
美喜江さんと妹さん分、そしてケアハウスの職員さんのも入れたら100人超えると思う。
「ハハッ、そうだね。集計大変だと思うけど、Excelで分かんないことあったらいつでも聞いて」
優しい声に、すぐに私の心はもっていかれてしまう。
私から行動するのを待っているみたいな言い方をするからずるい。
もっとずっと長く一緒にいたい気持ちを見透かされているようだ。