星空ラブソング
竹田さんは、どんな風に私を思ってくれているのだろう。
他の学生にも同じように優しいのかな。
窓口以外で他の子と話しているところには遭遇したことがないから分からない。
一人の学生として親切にしてくれているんだと思うけど、彼の表情や仕草、優しさにどこか期待をしてしまうのは、都合のいい方ばかりに考えてしまっているからだろうか。
その翌日、美喜江さんからメールが届いて、アンケートの回答は、教務課の竹田さんに預かってもらったというのだ。
【窓口に良いタイミングで取りに行ってください】と書いてあった。
「ええ!?」
メールを授業前の教室で読んで、思わぬ展開につい声を上げてしまった。
後ろの席から涼花が、身を乗り出して画面を覗き込んでこようとするから、反射的にスマホを伏せた。
「何かあったの?」
「ううん。涼花にも答えてもらった豆のアンケートなんだけど、もうすぐ100人達成するなあと思って!」
慌てて私は、困惑に気づかれぬよう大袈裟に笑いながら言った。
「すっごいよね!あたしだったらそんな集めらんないよ〜。だから卒論にアンケート取り入れるのやめたしさ。由依には脱帽!」
「特別講義の時に涼花の卒業生の友達にも協力してもらったし、ホントに感謝してます」
皆の力がなかったらここまでたどり着けなかった。
その思いを無駄にしない為にも集計して卒論を完成させたい。
授業が終わって、一緒に帰ろうとしていた涼花には、もう少し論文の作業をしてから帰ると告げて私は大学に残った。
そして向かった先は、他でもない教務課の窓口だった。