星空ラブソング
私もつい小さめの声になって答えた。

「来週木曜の3限以降が、良いかもしれません」

「オッケー」

竹田さんは、近くの卓上カレンダーをみてから頷いた。

本当は、明後日の木曜日が良かったんだけど、造形ワークショップの打ち合わせが入っていて、授業が終わったらすぐに向かわなくてはならない。

それ以外の日も来週の木曜までは、まめまめカンパニーのシフトや他の企業の説明会が入っていて、目まぐるしいスケジュールが続いていた。

「3限が終わったら窓口にきたら良いですか?」

「うん。場所どこがいいかは、また決めよう」

至近距離でみたクシャッとした笑顔に鼓動が高鳴る。

別れ際、「頑張って」と言ってくれた竹田さんに向けて頷いたあとで、私は「竹田さんも!」と言って胸の前で小さなガッツポーズをつくった。

「俺は、頑張んないよ」

竹田さんは、小さく首を横に振りながら肩をすくめて笑っている。

俺っていう一人称を聞けたのが、何故か嬉しくて口元が緩んでしまった。

竹田さんの存在にどれだけ支えてもらっているだろう。

彼のくれるエールが生きる力や勇気になっていく。

手を取ることは出来ないけれど、ずっと傍にいることは叶わないけれど、私が生きる道筋を照らしてくれる特別な照明係だった。

< 139 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop