星空ラブソング

一人残された教室で、カラカラの喉を潤そうと鞄から水筒を取り出して飲んだ。

今日のおやつにと持ってきていたどら焼きもついでにテーブルに出しておいた。

竹田さんが戻ってきたら一緒に食べられるかな。

それから15分くらい作業を進めていると、竹田さんが戻ってきた。


「お待たせ。どう、進んだ?」

「はい、お陰様で順調です。竹田さんは、窓口のほうとか大丈夫ですか?」

「うん。もう大丈夫だよ。今、対応してきた」

竹田さんは優しく頷いてから再び私の隣に座った。

「どれ見せて」


私からマウスを受け取った竹田さんは、進めたところまでを確認してくれた。


「うん。いいね。とりあえず、この後表を1つつくってみようか」

「はい。よろしくお願いします。竹田さん、その前にワンブレイクでどら焼き食べませんか?」

「食べたいけどあるの?」


竹田さんが、私の急な提案に目を丸くするから調子に乗って「じゃーん!」と目の前に出した。

「良いの?」

「はい、今日竹田さんと一緒に食べたくて持ってきました」

「ありがとう。いただきます」

「あ、でもお茶がないですね・・・」

「大丈夫。下にあるから」


どら焼きを食べたら絶対飲み物が飲みたくなるじゃんと、竹田さんのお茶がないことを悔やんだ。

竹田さんは、袋の記載を眺めてお店の名前を読み上げながら「旨そう」と呟いていた。

眩しい横顔を間近で見れて胸がいっぱいになる。

竹田さんが既婚者だということを忘れかけてしまいそうになる自分が怖い。

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