星空ラブソング
横顔を見つめていると、竹田さんが急に私をチラッとみてくるから慌てて視線を逸らした。
「ここのどら焼き好きなの?」
「あ、はい。昔バイトしてた和菓子屋のなんです。元々は、お店のファンで今でも買いに行ってて」
「そうなんだ。和菓子屋似合いそうだよね」
「そうでしょうか?」
「うん」
私は何だか嬉しくて微笑した。
「竹田さん、お願いしてもいいですか?」
「ん?」
どら焼きを袋から出そうとしている手を止めるように私は口を開いた。
「どら焼きの写真を撮りたいので手で持っておいてもらえますか?」
「いいよ。物撮りだね」
豆の情報を発信しているSNSに載せる為の写真だけど、密かに今日の記念写真にもしたかった。
竹田さんは、私が半分に割ったどら焼きの断面をカメラに向けながら「こんな感じ?」と角度を確かめてくれた。
「もう少し傾けてもらってもいいですか?」
「オッケー」
粒あんがしっかりと映るようにこだわりながら何カットか撮影した。
納得した写真が撮れたところで、私たちはようやくどら焼きを頬張った。
「美味しい。いいね、これ」
「ですよね!」
竹田さんは大きく頷きながらあっという間にどら焼きを食べ終えた。
まだ半分くらい残っている私に「ゆっくり食べて」と気遣うように言ってくれた。
「でもさ、ホントに豆が好きなんだね」
竹田さんは、テーブルの上のアンケートを手に取って眺めて言った。