星空ラブソング
どうやら、私の頭上のついていなかった照明が灯されたようだ。
照明のスイッチの方を向くと、こちらを見ている職員と視線が重なった。
数十メートルくらいある距離からでも伝わる彼の微笑に、私は夢でも見ているのかもしれないと、なにかの勘違いかもしれないと思いながら、驚きのあまり口が半開きになりそうだった。
だけど、まるで頑張ってとでも言ってくれるかのようにこちらを見て頷くから、私は感謝を込めて頭をさげた。
職員は頭上の照明だけじゃなくて、私の心に明かりを灯して教室を出て行った。
もう‘無愛想な職員’などと、たとえ心の中だけでも呼べそうもない。
動揺と追いかけっこするような忙しない心情の中で、必死に卒論計画書を書き進めどうにか完成させた。
卒論のテーマは、「豆のブランディングについての考察」となった。