星空ラブソング
心に明かりが灯った時から、職員と話をするきっかけを私は探していた。
目の前に扉があって、ドアノブには触れられているけれど、肝心の扉はあけられないもどかしさのような感覚だった。
突然降ってきたような、この気持ちが何なのか自分では掴みきれずにいた。
だからこそ確かめたいのかもしれない。
どうしたら話しが出来るだろう。
挨拶のもう一歩先に進めるかな。
「今日天気良いですね!」とか言っちゃう?
そういう話題から入るのは何だかおばさんっぽくて嫌だけど、彼のことを知らなさすぎた。
まずは名前から知りたいけど、「あなたの名前は?」なんて急には聞きずらい。
私は、自分が知っている情報を頭の中で整理することにした。
まず、クールな印象であまり笑わないこと。
次に、職場では、マニュアル的に出来上がっていそうで必要なことだけを窓口で話す感じ。寡黙なイメージ。
でも、優しい面を出してくれたことは意外だった。
自習室の照明は、ついていてもついていなくてもわからないくらいのポイント的なものだったけど、その1つがつくことで明るさに助けられることを知った。
照明スイッチのところから向けてくれた微笑を思い出すと、胸の奥のあたりがきゅうっと狭くなって苦しい感じがした。