星空ラブソング
あと知っている彼の姿と言えば、エキナカ改札横の洋菓子屋さんでショーケースに並ぶケーキを選んでいたこと。
ひょっとして甘党?
あれは、もしかして、彼女と食べる為のものだったかな。
ハッ、、、!
私は瞬時に浮かんだ妄想をかき消そうと頭を横に思いっきり振った。
私、なんで彼女のこととか考えちゃってるんだろう。
とりあえず、過去を整理してみたのは良いけどこれからどうするかが肝心なんだ。
まずは、用事をつくって教務課の窓口にいくのが一番いい気がする。
「例えば、貸与を受けてる奨学金についての質問とか、論文指導に行く前に研究室に入るための入館証をもらうとか、学生生活の話題かなぁ」
翌週の火曜日、空きコマに涼花と2人で大学近くの公園のベンチに座って涼花に職員とのことを一通り話した。
私が自分の書いたメモを読み上げていると、涼花は肩を震わせてくくくくっと笑いを必死にこらえている様子だ。
「ねえどう思う?」
私が聞いた途端、涼花はもう限界だったようで、答える代わりに噴き出すように大きく笑いながら言った。
「もう可愛すぎ!めっちゃ考えてんじゃん」
「そんな笑わなくても・・・」
「ごめん。恋はお休み中って言ってたこの間までと違いすぎてさ」
涼花は笑いすぎて涙が出たのか、目じりを指でさっとぬぐった。
「恋じゃないし!」
勢いあまって大きな声を出して反論してしまった自分に後悔した。
ここは公園で隣のベンチのスーツ姿のおじさんに丸聞こえだ。