星空ラブソング
身支度をしているとベッドの上でlineの通知音が鳴った。
上着のボタンをしめる手を止めて、画面をのぞき込むと映し出されていたのは、大阪の母と父からだった。
【今日宅配で美味しい野菜がつくよ。豆も入っとるよ!】だって。
私は、“豆”という文字に思わず頬が緩んで、幸福感に包まれた。
豆は、大好物で研究を趣味としているんだ。
私は豆のことになるとついつい熱くなってしまう。
その日の午後、空きコマに友人の涼花(すずか)と大学近くのカフェでお茶をした。
「由依(ゆい)、何かいいことあったの?」
「なんで分かるの?」
「顔がずっとにやけてるから」
「ぐへへー、今日ね豆が届くの」
「また豆?」
「何よ、その呆れたような言い方は!」
私はムッとして横目で涼花を見ながら、アイスコーヒーのストローに口をつけた。