星空ラブソング

身支度をしているとベッドの上でlineの通知音が鳴った。

上着のボタンをしめる手を止めて、画面をのぞき込むと映し出されていたのは、大阪の母と父からだった。

【今日宅配で美味しい野菜がつくよ。豆も入っとるよ!】だって。

私は、“豆”という文字に思わず頬が緩んで、幸福感に包まれた。

豆は、大好物で研究を趣味としているんだ。

私は豆のことになるとついつい熱くなってしまう。

その日の午後、空きコマに友人の涼花(すずか)と大学近くのカフェでお茶をした。

「由依(ゆい)、何かいいことあったの?」

「なんで分かるの?」

「顔がずっとにやけてるから」

「ぐへへー、今日ね豆が届くの」

「また豆?」

「何よ、その呆れたような言い方は!」

私はムッとして横目で涼花を見ながら、アイスコーヒーのストローに口をつけた。

< 2 / 147 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop