星空ラブソング
ちょうど就職先についても悩んでいるのだから、一石二鳥で良いタイミングな気がした。


このままパソコンの前に座っていても集中できないことは目に見えていたから、早速、私は貴重品のみをもって2階の窓口に向かった。


でも、またしてもタイミングが悪かったらしい。


ちょうどカウンターにいた中年の女性に対応してもらうことになってしまった。


あの職員は、数十メートル先の席でパソコンに向かっていた。

声をかけたいけど、名前が分からないし、指名することもできない。

すぐそこにいるのに届かない思いに、残念という言葉で頭が埋め尽くされる。

中年の女性が、早く要件を言ってとでもいうような目つきで私を見ている。

このまま何も言わないで窓口を後にするのは怪しまれそうだから、とりあえず聞いてみることにした。


「すみません。
就職サポートセンターについて聞きたいんですが。予約したい場合どうしたらいいですか」


「就職サポートの個別相談を受ける場合は、窓口予約をしてね。隔週で火曜日にサポートの人が来校してくれるからね」


「来週の空き状況ってどうですか」


私が聞くと、引き出しから予約リストを取り出し確認して空いている時間帯を教えてくれた。

その間もちらりと女性の向こう側にいる彼の姿を見ていたけれど、こちらに気づいてくれることはなかった。

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