星空ラブソング
豆だったら豆を扱う食品会社とか、造形教室だったらもう少し分解して考えてみて教育関係の会社とかかな。
豆も教育関係も私にとっては大切なフィールドだ。
考えていたら黙りこんで難しい顔になってしまっていたのか、担当者が口を開いた。
「大丈夫よ。皆、悩んで超えていくところなんだから。これから決めていきましょう。この大学には隔週しかこないけど、普段は新宿のオフィスにいるから、何かあったらいつでもここに連絡してきて」
私は等々力(とどろきさん)から名刺を受け取った。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」
マイペースで中々エンジンがかからなかった就活だけど、そろそろ本気を出して行動していかなければいけない気がした。
等々力さんとの話を終え、今度は卒論の指導を教員から受けるために、研究室がある隣の棟に行く。
その前に研究室がある棟に入るための入館証を取りに教務課の窓口に向かった。
もしかしたらあの職員と会うかもしれないからと、途中でトイレに寄って鏡の前で軽く化粧直しをした。
案の定窓口に出てきてくれたのはあの職員で、私は受付票に名前と学生番号、訪ねる教授の名前を書いて戻した。
「よろしくお願いします」
「頑張ってください」
次の瞬間、耳に届いたのは、小さな優しい声のエールだった。
ケースに入った“入館証”を受け取っただけなのに、それは私にとって特別なものにかわった。