星空ラブソング

研究室に向かっていると涼花からlineが届いた。

いつもは、私は空きコマで、涼花はバイトに行く前だから一緒に過ごしている時間なんだけど、今日は私が就活サポートと論文指導が立て続けに入ってしまったから寂しい思いをしているのかもしれない。

可愛いやつと思いながら画面を覗くと、思いがけない情報が表示された。

【竹田 一輝(たけだ かずき)だって!
教務課の人】

私は一瞬立ち止まり、即レスした。

【ありがとう。でも、なんでわかったの!?】

【午前中たまたま窓口行ったら、一番若そうで背が高いクールな人が対応してくれた。名前は、名札にかいてあったよ!】

教務課の担当者は、中年の女性や男性6人で構成されていて、その中で彼は最年少に見えた。

名札なんてつけていたっけ、と私はその場で首をかしげてしまった。

彼のこと見ているようで、全然見れていなかったということかもしれない。

でも、今はとにかく名前を知れたことが嘘みたいに嬉しい。

しかも一気に下の名前まで入手できるとは、涼花のお手柄だった。

【あと、つけてないね!】

涼花から追加でコメントが届いた。

【何をつけてないの?】

【結婚指輪!】

涼花の抜け目ないチェックに脱帽しそう。

竹田さんの名前を心の中で1回、2回と呟いてみた。

何が好きで、どんなことに感動する人なんだろう。

もっと、もっと知りたい。

あとで入館証を返却するときにまた会えるかな。

そんな期待を胸にしまって私は論文の指導を受けた。

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