星空ラブソング
その週の木曜日、自習室の準備をしに来たのは、この前入館証を返却した時に対応してくれた小柄なおじさんだった。
今日は、教室にいたのが珍しく私だけだったから、もしも竹田さんが来てくれたら少しでも何か話せるかなって期待してた。
せっかく名前を知れたのに火曜日に入館証を受け取った時から会えていない。
「梅雨入りしましたねー」
急におじさんの声が聞こえてきて驚いた。
誰に言ったのか確かめるべく教室を見渡したけど私しかいない。
「そ、そうですね」
「ヤな季節だよねー。
身体にこたえるからしっかり冷房活用して、頑張ってね」
おじさんの優しさを知った。
私はちょっぴり戸惑いながらも頭を下げた。
それと同時に、運命とは時に意地悪で、あらがえないことを知った。