星空ラブソング

論文に集中すべくパソコンに向かっていると、デスク上のスマホの通知音が鳴って文字をうつ手を止めた。

届いていたのは、火曜日の経済学概論の受講者で、最近話すようになった学年1個下の三原君からのlineだった。


【すみません。
一昨日の授業のノート、今日借りれますか?】


それを見て、約束を忘れかけていたことを思い出しハッとした。


そういえば、一昨日の授業を体調不良で休んだ三原君に、ノートを貸すと約束していた日だった。しかも11時50分に1階と言っていたのに、5分も過ぎてしまっていた。


【今から1階行きます!
ごめん、10階の自習室で卒論に集中してたら時間が過ぎてた】


【すみません。お忙しい時にありがとうございます。
こちらは大丈夫ですので、ゆっくり降りてきてください】


丁寧で律儀な返信だなぁ。

だけどゆっくりしているわけにもいかず、私は急いで書きかけの論文をUSBに保存したことを確かめ、パソコンを閉じてから荷物をまとめて1階に向かった。


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