星空ラブソング
「いいじゃん!いるよ絶対」
涼花の強い口調に圧倒されそうになる。
「そうかな?」
「由依に似合う人現れるよ。もしそういう人がいたら紹介するね!」
涼花の笑顔に私も微笑みを返した。
涼花の見慣れた表情は、私の気持ちをちょっとだけ軽くしてくれたけれど、見えない未来に不安を感じていることは確かで、終着駅の分からない電車に揺られているような気分だった。
カフェを出てから、バイトに向かう涼花とは横断歩道のところで別れて私は大学に戻った。
授業開始まであと15分くらいあったから、通学定期購入の手続きを済ませようと、2階の受付窓口に向かった。
いつも混んでいる教務課の窓口だけど、今日は先客がいなくてすぐに対応してもらえそうでラッキーだ。
若手の男性職員が窓口をそっと覗き込んだ私に気づき、デスクから立ち上がってきた。
身長156㎝の私がうんと見上げるくらい背が高くて、小顔でくっきりとした目鼻立ちをしている。
近くで瞳が重なった途端、私はなぜか後ずさりをしてしまった。
この感覚、前にもどこかであったような気がする。
「ご用は?」
どこか不機嫌そうな口調でそう言って私を見下ろした。
「あ、えっと、定期券の学割の購入手続きをしに来ました」
私が早口で言って記入済みの申請用紙を手渡すと、しばらく目を通してから用紙を返してきた。