星空ラブソング
私が要件を告げる前に、竹田さんは黙って受付票を差し出してくれた。
「ありがとうございます」
お礼を言って受け取り必要箇所を記入した。
そして書き終えた票を私は、何事もないように竹田さんに戻したけど、内心はクエスチョンマークでいっぱいだった。
どうして笑ってくれないの?
優しい声をかけてくれないの?
後ろに次の人が並んで待っていたからか、竹田さんは終始無口なまま私の対応を終えた。
1時間後、論文の指導を終えて入館証を戻しに行った時は、竹田さんは席を外していて事務室にはいなかった。
なんだかモヤモヤしてスッキリしない気分の中、帰りに家の近くのスーパーに寄って食材の買い物を済ませた。
雨が降っていないからか余計、梅雨時期の湿度の高さにぐったりとしてしまいそうだ。
教科書が入った重たいリュックを背負い、両手には大きなレジ袋をさげて緩やかな長い坂道をのぼっていく。
私は少し休憩をしたくて坂道の途中で立ち止まった。