星空ラブソング
画面の端っこには、青空に浮かんだ透明色の三日月が写り込んでいることに気がついた。
いつの間にか、ずっしりと沈んだ気持ちはどこかに消えていた。
周りの通行人は足早に歩いて、小さな虹の出現には気づいていないみたいだ。
竹田さんにも見せたいな。
空になんか興味ないかな。
また、気づけば竹田さんのことを考えてしまっている。
奇跡みたいに彩雲を見れたように、顔をあげた視線の先に竹田さんがいて笑ってくれていたらいいのにな。
私はスマホをポケットに入れて、再び坂道をのぼり始めた。
その足取りは、さっきまでよりもずっと軽かった。