星空ラブソング
彩雲の写真は、涼花や親に送ったけれど一番見せたい人には見せられないでいた。


彩雲を見た翌日の水曜日、私が受ける授業は10時40分からだったけど、少し早めに大学に到着した。


ただ、会いたかった。

叶うなら、会って彩雲のことを伝えたかった。


竹田さんが10時頃に出社することを知っていたから、1階の出入り口の付近にいたら会えるかなと少し希望を持っていた。


待ち伏せしてるみたいに思われたくなかったから、1階の待ち合わせスペースの椅子に座って本を読んでいることにした。

本を読んでいるのはほぼふりで、いつ現れるだろうかと落ち着かない心情の中、チラチラと目線を泳がせていた。


すると見慣れた顔がこちらに向かってやってきて、笑いかけているのが見えた。


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