星空ラブソング

目が合って、竹田さんが向けてくれた微笑に安堵した。

今日は窓口にいる時とは違って柔らかい印象だ。

竹田さんが近くまできたので私は思い切って口を開いた。

名前を声にすることって、こんなにも緊張するんだっけ。


「竹田さんあの・・・」

「ん?」


デスクの引き出しの鍵を開けながら、顔だけをこちらに向けた。

クリっとした大きな黒目に見つめられ、鼓動がとどめをさされたように高鳴りを覚える。

話す内容を彩雲のことか豆のことかギリギリまで迷っていた。


でも、わずかな時間の中で私を知ってもらうには豆しかないって思って心を決めた。


「私、今、卒論を書いてるんです。
テーマは、“豆のブランディングについて”なんですが、竹田さんは豆は食べますか?」

「うん、食べるよ。どれ見せて」


間髪入れずに竹田さんは頷いて、私の傍にきてからデスクの上に出していた卒論計画書に手を伸ばした。

そしてしばらくの間無言で目を通していた。

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