星空ラブソング
その日、3限が終わって時間があった私は、涼花と待ち合わせて雨上がりに大学近くの公園を散歩した。
そこで、竹田さんに子どもがいることを告げた。
「えええええ!?マジで?」
木に止まっていた鳥が思わず飛び立ってしまうくらいの涼花の大きな声音が響いた。
「うん・・・」
「指輪してないのに!?」
「してないのにね」
「ひょっとしてシングルファザーじゃないよね?」
「確かに、どうなんだろ」
「まだワンチャンあるかも・・・とか思っちゃだめかなぁ」
涼花はそう言って顔を明るくしかけたが、私に期待を持たせては悪いと思ったのか再び現実に戻ったかのようにか弱い声になった。
「でも早めに分かって良かったのかもしれない。
遅ければ遅いほど、由依が、もっと傷つくことになってたかもしれないもん」
「そうだね。今わかって良かったんだよね」
自分に言い聞かせるかのようにそう口にした。
「ごめんね、涼花。今日は思いっきり落ち込まさせて」
「うん。思いっきり落ち込もう」
こうして隣で受け止めてくれる人がいてくれて良かった。
私は、うっすらと滲んでしまった目じりの涙を涼花に気づかれないように指先で拭った。