星空ラブソング
そのまま黙って通り過ぎるなんてできなくて、鍵を再び自分であけてしまった。
「竹田さん、お元気でしたか?」
「はい。・・・元気でした?」
「元気でした」
「卒論は順調?」
「はい、頑張って進めてます」
「そっか、良かった」
本当はこのまま、今日は面接があること卒論のこと色々話を聞いてほしかった。
竹田さんのほくそ笑んだ顔に声にならない気持ちが溢れだしそうになる。
でも時間をつなぎとめることはできないまま、私たちは逆方向に歩き始めた。
背後で自習室のドアが開いた音がした頃、私は廊下の角を曲がった。