星空ラブソング
2次面接は、1次面接と同じように1対1で行われたけれど、担当者が若手の男性社員の方だった。ハキハキとしていて、強い口調で話す人だった。
自己紹介と志望動機を述べるのは、1次の時と同じだったけど、会社の部署の中で特に興味がある部門は何かとか、将来この会社で何をやってみたいかとか、ここで仕事をする上で活かせそうな強みは何かとか、色々踏み込んで聞かれた。
「では、沢田さんの就活の軸を教えてください」
「私の就活の軸は・・・」
ついにその質問がきたと思って、ゴクリと唾を飲み込んだ。
等々力さんに、この質問はいつかくるよと教えてもらっていたから準備はしていたけれど、正直、軸がまだ明確になっていなかった。
私は、自分で書いて暗記した言葉を口にしてみたけど、なんだか無理矢理言ってしまっているかもしれないと、どこか違和感を覚えてしまった。
「軸は、情熱を探究し実現できる環境であることです。御社は、仕事の課題の解決をしていくために、アグレッシブに挑戦させていただける場であると、説明会の時の先輩社員のお話や企業研究を通じて感じてきました。中でも御社が提供しているインターネットを通じた“人材募集の情報提供サービス”は、人々の情熱や挑戦を支える存在だと思います。私もサービス提供を通じて、誰かの人生のターニングポイントをサポートする役割を担いたいと考えています」
「そうですか。わかりました。では、最後に、ご自身の経験でターニングポイントって何かありましたか?」
用意していない、まさかの質問がきて戸惑って口をつぐんでしまった。
でも何か答えなきゃと思い、私は過去という引き出しを猛スピードで探った。
「えっと、ターニングポイントは、小学生の時です。親の転勤があり転校した先で人間関係に躓いてしまって、学校に通えない時期が一時期ありましたが、友人や家族のサポートのおかげで乗り越えることができました」
「人間関係とは、具体的にどんなことがあったんですか?」
小学校4年生の時だった。
多感な年齢だったからか、クラスに中々馴染めずに他人に対して壁をつくってしまったことがあった。