星空ラブソング
初めのうちは、孤立してしまうのが怖くて、入りたくもない女子の陰口大会に作り笑顔で参加していたこともあったけど、そのうちに限界がきてしまった。
もう輪から抜けたいと告げたかったけれど告げられなくて、苦しくて、いつの日かその環境と自分から逃げるように外の世界をシャットアウトしてしまった。
私が話し終えると、担当者はまっすぐに視線を向けて口を開いた。
「乗り越えてきたということですが、どうやって乗り越えましたか?」
「はい。えっと・・・」
ダメだ、すぐに言葉にできない。
私は視線を伏せてから必死に頭の中で言葉を組み立てた。
「家族と友人の支えの中で、好きなものを見つけて、私は私でいいんだと思えるようになったのが、乗り越えられたきっかけでした」
父と母は、自分の気持ちを他人に伝えられなくなっていた私に焦らなくていいと言って辛抱強く待ってくれた。
友人はクラスメイトで、問題があった輪の中の子ではなく、いわゆる一匹狼のような子だった。
学校に行っていた頃は、ほとんど話したことがなかったんだけど、毎日のように私を訪ねてきて、授業のプリントを届けてくれた。
当時は、すぐにはその気持ちに応えられず、玄関口で母に断ってもらうことが多かったが、ある雨上がりの日、玄関からその子の大きな声が聞こえたんだ。
『虹が出てるよ!綺麗だよ。窓を開けてみてみて』
私は、半信半疑で開けた窓の先に見えた二重の虹に心を奪われた。
あの時から私は、空を眺めることが好きになったんだと、面接官に話しながら思い出していた。