星空ラブソング
翌日、ベランダで夜風に吹かれながら空を見上げていた。


流れていく雲の隙間から、瞬く星が1つ2つと見え隠れしていた。


人差し指をうんと高くに伸ばして、顔を覗かせた星と星とを透明な線でなぞってみた。星座を描きたくて、空に目を配らせたけれど星の数が足りない。


急に切なさがこみ上げてきて、じんわりと目頭が熱くなり、私は唇をキュッと強く結んだ。


就活の2次面接は、悔しい結果に終わってしまった。


今回のことを電話で等々力さんに報告すると、推測だが、面接官が最後にした“ターニングポイント”に関する質問は、究極だったのかもしれないと言った。


大手で人材サービスを展開する企業では、営業実績の面でも社員の競争がかなり激しいらしく、働く側は心身共にタフさを求められると等々力さんは同業種の視点から言った。だから、人間関係に躓いてしまった話とかは、あえてしない方が良かったかもしれないと振り返った。


私が言葉で、今なら不登校にはなりませんと言っても本当にそれを証明できるわけではないからだ。

今回の経験から私は、急な質問がきても機転をきかせて受け答えを出来るようにしていかなければいけないと思った。


だけど、これからどこを目指したらいいのかな。私の軸ってなんだろう。


明日は、造形教室の開講日で小学生の皆と星座づくりをする日だ。


こうして落ち込んでばかりはいられない。明日を描こう。


何事もプラスの経験に変えていくことが大切だと、等々力さんが言っていた言葉を思い出していた。

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