星空ラブソング
「そこ知ってる?」


「知ってます。実はこの前行きました」


「さすがだなぁ」と言って竹田さんは目を細めて笑った。


「そこの店、家の近くだから今度行ってみようと思ってさ」

「そ、そうなんですか!?」

「うん。自転車で行ける距離。ここ美味しい?」


竹田さんは、私の手からプリントをとって眺めながら聞いた。


「はい。美味しいです。商品のパッケージデザインとかにも凝っていて、豆の可愛さに心をもっていかれそうになる感じです」

「へぇ」


竹田さんがお店を調べていることにも驚いたけど、それ以上に家がある地域を教えてくれたことが信じられない。


でも喜んでいられる状況ではないことを思い出した。

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