星空ラブソング
私は現実を確かめるように言った。


「そこのスイーツ、奥さんや子どもさんも喜ばれるかもしれません」

「そっか。うちの奥さん甘いものあんま食べないんだよね。子どもは、まだ小さいからなぁ。食べるかな」

「そうなんですか・・・。子どもさんいくつですか?」

「4才」

「そうですか、もしかしたらちょっと早いかもしれないですね・・・」


私、何言っちゃってるんだろう。

自ら地雷を踏むような発言をしてしまってズキズキと胸が痛い。

これで既婚者、子持ち決定だ。
最後のあかりが消えゆくように、私は視線を床に落とした。

この場からすぐに走り去りたかったけれど、でもその前に何か言わなきゃと絞り出した言葉と笑顔は、心の声とは裏腹のことだった。


「豆料理専門のカフェとかも色々あるので、もしご家族で行くのにオススメなところあったら今度お伝えしますね!」


竹田さんは、微笑を浮かべて少し間を置いたあとに「ありがとう」と言った。


誰かからもらう“ありがとう”の言葉に、こんなにも寂しい気持ちになることがあるなんて今まで知らなかった。


私は気持ちを紛らわせるかのように、涼花と美喜江さんに大学新聞のことを連絡した。


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