星空ラブソング
初めは戸惑っていた2人だったけど、最終的には引き受けてくれた。
そしてあと1人、経済学概論の授業前に、席の近くで私と美喜江さんの会話を聞いていた三原君が加わった。
梅雨明けを迎えた7月下旬、暑い夏がやってきて、蝉の合唱が始まった。
夏休み前の期末テスト週間を迎えた火曜日、卒論指導はお休みで、次の時間の授業はレポート提出だけだったから、空きコマに涼花と公園のベンチにいた。
涼花は、今週はさすがにバイトを休んで試験勉強に集中するということだ。
テスト合間のちょっとした息抜きのひと時、私と涼花はコンビニで買ったソーダ―味のアイスを頬張りながら話した。
「でもさ、ビックリなんですけど!竹田さんとそんなことになっていたとはね」
「私も声かけてもらった時は驚いたよ」
「ねぇ、由依、大丈夫?」
「へ?」
「こんな展開になっちゃって、気持ちの切り替えしにくいんじゃないかなって。ごめんね、余計なお世話だよね・・・」
涼花の心配は当たっていた。
でも、竹田さんへの気持ちを知られてしまったら、幻滅させちゃうかもしれない。
「大丈夫だよ!」
「そう?だといいんだけど」
「それより、新聞で涼花の夢とか読めるの楽しみだなぁ」
「ホント、どうしよう。あたし、夢とか目標とかそんな考えたこともなかったしぃ。ねぇ、取材の日、由依もいてくれるんでしょう?」
「それ、美喜江さんにも言われてるんだけど日程が合えば・・・」
「えー、お願い。いてよぉー」
涼花が珍しく子どものようにせがんで、私の腕を握った。
だけど結局、涼花の願いは空しく立ち会うことは出来なかった。
美喜江さんの立ち合いは叶い、竹田さんは別件対応があったようで、私に任せると言ってその場には現れなかった。
取材の日が美喜江さんとは、夏休み前最後に会う日で、夏休み中に美喜江さんの家に遊びに行くことを約束して別れた。
取材が無事終わったと三原くんからもlineで報告を受けた。