言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…
俺は 早苗を好きなことを
誰にも 言えないまま。
近づくことも 諦めることも できずに
ただ 密かに 早苗を 見つめ続けた。
川村は 告白したことを きっかけに
少しずつ 早苗との距離を 詰め始めた。
「寺内。やっと 岩瀬さんの 連絡先 教えてもらったぞ!」
川村が 顔を上気させて 俺に言ったのは 4月の初め。
それ以来 川村は 時々 早苗と
ラインをしているようだった。
「ヤッタよ 寺内。やっと 食事の誘い オッケーもらったよ。」
新入社員が 入ってきて 俺達にも 後輩ができて。
総務課は 忙しい時期が 続いているようだったけど。
GWに入る前 川村は 意気揚々と 俺に言った。
「よかったな。チャンスじゃん。頑張れよ 川村。」
食事の誘いに オッケーしたっていうことは
早苗も 川村に 好意を持っているのか?
このまま 早苗は 川村と 付き合ってしまうのか…
俺は 乱れる心を 押し込んで
笑顔で 川村に 応援する言葉を 言っていた。