言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…
川村は 早苗と別れたことを
軽いことのように 話したけど。
俺が思ったよりも 川村にとって
深い傷に なっていたのだろう。
その後川村は 仕事で 小さなミスを 繰り返していた。
「おい。川村。大丈夫か?」
俺が 声をかけると
「心配かけて すまない。俺 注意力散漫だな。」
と川村は 苦笑した。
小さなミスだけなら 社内で処理できるけど。
3月の初め 川村は 取引先を巻き込むミスをした。
取引先から 注文された部材を 発注し忘れて。
納期に 穴を開けてしまった。
他の支店から 大至急 回してもらった商品で
大事には 至らなかったけど。
川村は 課長と取引先へ 謝罪に行った。
「俺 最悪だよな。女にフラれたくらいで 仕事に集中できないなんて。情けないよ。」
川村は そう言って 落ち込んでいた。
部署が違っても 川村の失態は
早苗の耳にも 入っているはずで。
俺は 早苗が 自分を責めてないか
それも 心配だった。
川村と 別れてしまえば
俺と早苗を 繋ぐ点は無い。
早苗が 俺に 相談することも
もう ないだろう…