言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…
早苗のことは 心から 離れないまま。
毎日は 容赦なく 過ぎていくから。
俺は 逃げるように 仕事に集中した。
仕事では 順調な成果が 出ていても
全てが 満たされる わけじゃないけど。
それでも 仕事が評価されることは 嬉しいし。
少しは 自分にも 自信が持てるように なっていた。
川村からは 時々 連絡があった。
会うことは なかったけど
川村も 新しい場所で 頑張っていた。
相変わらず 女々しい俺は
街の雑踏で 早苗の姿を 探してしまう。
たとえ 再会しても 何も言えないくせに。
いや、そもそも 早苗は
俺のことなんか 覚えていないだろう。
一度も 口に出せなかった 思いは
昇華されないまま 心に残り続けた。