言えなかった言葉 ～友達と同じ人を好きになって…

早苗が　いなくなって　半年が過ぎて。

また　街は　クリスマスムードになっていた。


去年のクリスマス　早苗は　何故　俺に会いに来たのか…


あの時　俺は　どうすればよかったのか

過ぎたことを　何度　思っても

どうすることも　できないのに。


あの日　早苗が着ていた　グレーのダッフルコート。

地下鉄の階段を　降りていった　後ろ姿のフードが

いつまでも　俺の心に　残っていた。


駅のホームや　改札口で　

フードの付いたグレーのコートに

俺は　毎日　過剰に反応していた。


一体　何をやっているんだ…


早苗の　連絡先を　知っているのだから

思い切って　連絡すればいいのに。


早苗の反応が　怖くて

俺は　連絡もできなかった。


早苗は　どこで　何をしているのか。

思うだけで　何もできない　情けない俺は

その年も　１人のクリスマスだった。