言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…

いつまでも 早苗を離せないで

抱き締めたままの俺に

早苗も ずっと 寄り添ったまま。


「岩瀬さん。好きだ。付き合ってほしい。」

「ありがとう。私も。寺内さんのこと 好きです。」

早苗は 俺の胸で 答えてくれる。


「早苗… 早苗って呼んでもいい?」

ずっと 心の中で 呼んでいた名前。

やっと 声にすることが できた。

「はい… 私も 寺内さんのこと 名前で呼んで いいですか?」

「もちろん。雅也って呼んで。」


胸に 顔を付けたまま話す 早苗の声は

振動となって 俺の胸に響き。


離すタイミングを 失くした腕は

早苗の体を 捉えたまま。


離れることなんか できない…


4年越しの 気持ちを 初めて伝えて。

早苗に 受け入れてもらったのに。


「雅也…?」

いつまでも 早苗を 離さない俺に

早苗は 控え目な声をかける。


「もう少しだけ。こうしていて。早苗…」

「うん…でも 私。」

「んっ?どうしたの?」

「離れられなくなっちゃう…」


俺は 胸も身体も 熱くなって

自分を抑える 自信がなくなるほど。


まるで 磁石のように ピタッと くっ付いて。


俺は 髪や背中を 撫でながら

早苗を 抱き締め続けた。





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