言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…

やっと 早苗を離した俺に

早苗は 可愛いい笑顔を 向けてくれた。


「早苗… 今日まで 長かった。もう 一生 会えないと思ってた。」

「私も。でも 寺内さんのこと 一日も 忘れたことなかった。」

「雅也。」

「雅也… 夢みたい。」

「それは 俺が言いたいよ。」


もう一度 抱きしめたら 俺は キスしてしまう。

真っ直ぐ 早苗を見つめる俺に

早苗から 胸に 飛び込んできた。


「早苗…」

早苗の身体は 柔らかく 俺の腕に収まる。

俺は そっと 早苗の髪を 撫でて。

込み上げる欲望を 必死で 抑えた。


「雅也の胸 温かい… 思っていた通り。」

早苗は 俺に抱きしめられることを 望んでいたのか。

そう思った途端 俺は 早苗に キスをしていた。


「……んっ。」

「さなえ…」

早苗は 甘い吐息で 俺を受け入れる。

初めてのキスなのに 昂る思いは

熱くて 甘くて 抑えることなんか できなくて。


力の抜けた 早苗の重みを 腕に感じて

俺は やっと 唇を 離した。


「早苗 好きだ。」

「ありがとう。私も。」

早苗は 熱く潤んだ目で 俺を見つめた。


早苗が 川村に 身体を許さなかったのは

そういうことが 嫌だったわけじゃない。


川村に 許すほど 

気持ちが 高まってなかっただけだと

やっと 俺は 理解した。





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