言えなかった言葉 ~友達と同じ人を好きになって…
自分にとって 何を優先するべきか
いつも うまく判断できなくて。
大切なものを 失っていた。
回りの目とか 世間体とか。
秩序とか 協調性とか。
自分を抑えることが 良いことだと信じていた。
絶対に 譲れないものも あるのに。
もし あのまま早苗と 再会できなかったら。
俺は いつか早苗を 忘れて
別の幸せで 満足したのかな…
早苗のことは ずっと胸に秘めて。
似ている誰かと 折り合いをつけて。
そうやって 生きていくことは できるけど…
そんな風に 生きている人の方が
多いのかも しれないけど。
だから俺は もう一度 出会えた
早苗を 大切にしたいし。
早苗と生きる これからの人生に
自分の全力を 注げる。
「ねぇ。加藤さんって まだ会社にいるの?」
早苗は 少し躊躇うように 俺に聞いた。